ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■宵越しの金平糖はもたねぇぜ
・総評として「チギは一生懸命、コマは上手い」って感じでした(これは残り2幕にも言えますが)。個人的にはチギが一生懸命に明るくあっけらかんにやっているのが、小四郎としても三五郎としても、この一幕の世界観(コメディ系)にあっているのかな、と思いました。でもコマもやっぱり上手いんです。多分、これ、役替わりではなく、仮にそれぞれの主演の作品として観たら、どっちもいい、って思うんだと思います。ただ役替わりを通した上だと、ものすごく赤裸々に「ふたり」が見えて来るなぁと思ったしだいです(これも残り2幕にも言えますが)。


『花かんざし』
 土曜日:伊左次→コマ、吉蔵→チギ
 日曜日:伊左次→チギ、吉蔵→コマ

・これ、お話がすごく気に入りました。いい話ですよね。ほろりとする、いい話。

・で、私がうっかり土曜日にダブルを検討してしまったのが、コマ伊左次だったんですが……っ。もう最初の花道から出てきた瞬間に「自分、陰を背負っていますから」的な暗さがばんばん漂っていて!お芝居が最初から最後まですごくよかったのです。真実をひた隠し、人情に揺れながらもこらえて、そして最後の「お菊ちゃんが欲しい」でどわーっと。もうほんとコマしか見てなかった、その一挙一動にくぎづけでした。

・で(話題転換)、日曜日のチギ伊左次なんですが……うわあ、ごめん、チギ腹芸できない子なんだなぁ、と。なんというかチギの伊左次は最初からその顔に「本当は僕やってない、ある人を庇っているんだ」って書いてあるんだよね(笑)。吉蔵の「おかしなもんだ、お上の裁きは下ったのに、皆がお前さんを下手人って思っていねえ」がもう「そりゃそうですよねわかりますよねバレバレですよね」と思ってしまったというか。

・でもチギの伊左次はこれはこれでアリだと思いました。好みから言えばコマ伊左次なんだけれど、チギ伊左次は本当にそうやって「伊左次はそんな事をする奴じゃない」っていうのが滲み出ていて、それはそれで胸を打たれたのです。多分、チギ伊左次の時、観客は舞台上にいる幼馴染と同じ気持ちになるんじゃないかな。逆にコマ伊左次の場合は「何か事情があるみたいだけれど真相はどうなの?伊左次はやったって言っているけど、これお話の最後はどうなるの?」と手に汗握ってはらはらする感じ。ね、どっちもアリでしょ?(聞くな)。

・伊左次の言う「俺は不器用」がチギコマで文脈が違うんですよね。チギはそういう人の良さとか本当の事を隠しきれない、上手に嘘をつけない不器用さ。コマは人に甘えることができない、自分を追い詰めてしまう不器用さ。同じ脚本でこうも解釈変わるかー、と、これは役替わりの醍醐味だなぁと。

・もうひとつの配役、吉蔵。これも二人の違いがそれぞれによかった。もともと伊左次と吉蔵ってはっきり「反対」のキャラ立てで書かれているので、どちらの配役にせよチギコマの「反対」な特性が生きてくるんじゃないかなと思った次第。

・チギの吉蔵は軽妙な感じで。全てをわかっていながら、わざとおどけながら笑いながら、でも誰よりも伊左次の事を思っているような、でもやっぱりどこかKYのような(笑)。「茶のおかわりをもらってくる」もいい意味で「うわあ、わざとらしいー」とでニヤニヤしました。あと「たまにしゃべりすぎると」って言うのにも「いや君普段も相当マシンガンだろ?」って感じでこれまたニヤニヤしました。チギがそこまでその「反対」を意識して演じている、というよりチギが持っている持ち味がすごくいい方向に出たなぁ、と思っています。

・それに対してコマの吉蔵はものすごく重く貫禄ある感じ。ちょっと幼馴染(同世代)に見えない部分もあったのですが、でもあの重さとじんわりする暖かさは、チギ的文脈の不器用な伊左次には合っていたかな、と。


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12月06日(日)
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