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マシンガン★リーク
by 六実
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■『本気になる相手を間違えてはいませんか?』
じゃあ主人公であるはずのフェルゼンは?というと最初に言ったように彼自身は自分が歩むべき道を選んではいないのだと思います。一度は王妃の為に身を引く=「ドゥ、あなたの為の道」を選んだのに、最後にまた三叉路に戻ってきてしまった。そして同じくそこにいたアントワネットが最期に三叉路を選び取るのに手を貸した。けれどもフェルゼンはその三叉路に立ち止まってしまった。もうどこにも行けなくなってしまっている。ラストシーンにフェルゼンが浮かべる笑みはアントワネットの人生を(彼女の希望どおり)満たす事のできた満足感であり、自分自身の人生の達成感ではない。ある意味「ドゥ、あなたの為の道」を選んだ事になるのだろうけれど、それがフェルゼンの選んだ(進んでいく)道ではないように思えたのです。きっとあの後フェルゼンは三叉路に立ち止まったままいつまでも「心の荒野」を抱えたままでいるんじゃないだろうか……。原作のラストシーンは、「王妃を失ってから民衆を憎むあまり冷たい独裁者となって民衆から恨まれて殺された」フェルゼンの死体の絵で終わっているんです。なんだかワタさんのフェルゼンを見ていたら、それがやたらと思い出されたのです。そういう寂莫感というか無情感をワタさんのフェルゼンから感じてしまったのです。
玄宗皇帝の時も思ったのですが自分で選択・決定をしない主人公は、主人公として成立しないというかカッコ良くないんですよ。フェルゼンがカッコよくないのも正にそれ。自分で道を選んでいないから、だから共感し難い。けれどもつきつめて考えていくと、自分の道を選択するより他人に道を選択させる(自分が道を選ぶ事を放棄している)ってすごい事なんじゃないだろうか。そして間接的にではあるけれどオスカルがあこがれを捨てて自分の進むべき道を選んだのも、やっぱりフェルゼンが関わってくると思うので、三叉路から二人の女性を送り出したフェルゼン、という事になるのかもしれない。
でもすごくわかり難い主人公像だと思います。主演漢役(正しい漢字表記だ)(笑)のワタさんには、もっとわかりやすい主人公というかヒーローを振ってやればいいのに、立て続けに辛抱役というか一歩間違えば宝塚のヒーローして全く成立しない役を振られている。けれどもそれが決してナシではなくて、ワタさんだからこその主人公になっている。作・演出サイドがワタさんの持つキャラクター(スケールの大きさとか)に甘えてるとも思うし、それをこなしているワタさんをすごいとも思います。
フェルゼンはやっぱり好きじゃないし、感情移入も共感もできない。けれども解釈というかようやく納得ができた。すごいなと思うようになった。物語を面白いと感じた。……やっぱりそれはワタさんフェルゼン故だったんじゃないかなぁと。
という訳で、今回のベルばらは面白かったです。相変わらずの俺的身勝手解釈ではありますが、すごく面白かったです。
[ソウル・オブ・ベルばら思い出したぞメモ]
・靴磨きの場面で、レークを「かわいいね!」というウッディーさんは一体何を指してかわいいと言っているのだという話になりました。レークさん自身?それとも着ている服?(失礼な)……多分「キュッ、キュッ、キュッ」の音がイルカの鳴き声に似ていて「かわいいね!」なんだよ(ええ?)(だってその証拠にあのキュッ、キュッを一緒に歌っているじゃないか!)(笑)。
・お芝居のとにゃみアントワネットの大熱演にうっかり泣かされたのですが、そのとにゃみアントワネットが、牢獄でしきりに自分の髪(白髪)を触っていた仕草が気になりました。私にはあれが「現実を自分自身に言い聞かせる為の」仕草に見えたのです。きっと白髪になった髪は昔と手触りが違うのだと思います。白髪は鏡を見なければ、見ないで済む。けれども今確かに自分は死を目前にした囚われのルイ16世の寡婦なのだと、自分に認識させるように、その手触りで白髪を、今の現実を思い起こさせる(ずぎゃん)
フェルゼンの声がして「まさか」と現実を確かめるように髪に触れていたのが、すごく印象的に残りました。
10月03日(月)
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