ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■しゃっくりをとめる100の方法(のうちのひとつ)
 新しいルドルフ像だと思いました。

 が、これだと実はエリザベートとの「ママは僕の鏡」「この世界で安らげる場所がない」と全く繋がらなくなってくるんです。安らげる場所を探す前に、彼はその存在を脅かされていたんじゃないかなぁと。


[雪組メモ:ユミコ氏の件について]

 「嵐も怖くない」の銀橋渡りで、「あなたのお気持ちは良くわかるの」「ありがとう」というところ。私ここの「ありがとう」が好きなんですね、どのフランツも一番素が出るというか、シシィに恋するひとりの男の姿(時には少年)が見えるので。
 ところがユミコフランツの「ありがとう」は、恋するひとりの男じゃなくて、あくまで皇帝としての「ありがとう」に見えたんです。「あなたのお気持ち」をシシィは「フランツがシシィを恋する気持ち」として解釈して「よくわかるの」って言っている(と今までも思っていた)んですが、ユミコフランツは「国家と臣民の為に生きる険しい道を歩くもの」をシシィが「よくわかるの」と言っていると解釈して「ありがとう」と言っているように見えたんですね……うわ!最初からこのふたりすれ違っているよ!

 ごめん私にはそう見えた。

 面白いことにユミコフランツからは「マザコン皇帝」は感じられませんでした。彼は彼の信念で意思で、「強く、厳しく、冷静に、冷酷に」なっているのだなぁと。同じ文脈でハマコゾフィーからも、エリザベートを「妬んでる」感はなかったです。なんというかユミコフランツもハマコゾフィーも「しきたりを守る」事を至上としている感じでした。規律を守ることがハプスブルクの安泰に繋がるとハマコゾフィーは信じているし、ユミコフランツもそれを自分自身の意思で信じている。親子としてではなくて、同じ信念を持つもの同士として「強い絆で結ばれている」。
 そんな風に規律を守ってきたフランツがエリザベートの為に「自分の信念を曲げて」エリザベートの要求を受け入れる一幕ラスト、フランツの「破戒」という言葉が浮かびました。
 でもそれを返すと「破戒」をしてまでも、エリザベートへの愛を貫いたフランツ。己の信念をまげて、ハプスブルクを守ってきた規律をまげて、それでもふたりはすれ違ったままで終わってしまった。本当に最初から最後まですれ違っていたとしか思えない、そもそも余りにも違いすぎたふたり。すれ違いではなく、「違う」ふたり。なんというかそこまで徹底して「すれ違っている」と思ったのは今回が初めてです。だから、すごく最後の「夜のボート」が悲しかった。このフランツもちょっと新しいと思いました。

 でもその「破戒」故にハプスブルクは崩壊したと言えなくもない。「強く、厳しく、冷静に、冷酷に」守られてきた「規律」が破られた事でハプスブルクは崩壊した、あれ、エリザベートって悪女ってことか?なんというか、ユミコフランツとハマコゾフィーがあまりにも正々堂々としているので、一瞬だけですがエリザベートがわるものに見えてしまったんですね。それはそれで問題のような気もします。


[雪組メモ:音月桂ちゃんの件について]

 音月桂ちゃんのルキーニ。割と全肯定です。いい仕事してた。ルキーニって狂言回しということで、やりすぎちゃうきらいがあるかと思うんですが、また客席もなんかやってくれるルキーニを期待しているんだと思うんですが、音月桂ちゃんのルキーニはまったく遣りすぎてなかった。それなのに空間を動かしていたなぁ。一番唸ったのがバートイシュルの場面で、どかっと腰を下ろして歌っていたところ、あれ新しいなぁ。単に動きとして新しいだけじゃなくて、あそこで動きを止めてもちゃんと舞台の空気に乗っかっていた。ああもうそのやりすぎなさ感がすごくいい。
 が、ルキーニの狂気は全く感じませんでした。なんというか終始一貫「俺はマジだぜ」。彼にとっては全てが真実だから、それを信じない裁判官を「こんなこともわかんねぇのかい」とあざ笑う余裕すらあって。今までのルキーニは狂気の正常の狭間、みたいなのがあったような気がしているのですが、そういう狂気がなかった。なんかこのルキーニもも新しいなぁ。

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07月16日(月)
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