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マシンガン★リーク
by 六実
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■おとうさん、アーバン乗るから 迎えに来てね(字余り)
「……」
自嘲する麻尋に声をかけかねる。と、その時麻尋の箸が滑って、皿から南瓜が落ちた。麻尋が笑ったからかつきも笑った。料理人の癖に麻尋の箸の持ち方はおかしい事はもう知っていた。いや、箸だけではなく存外この子は無器用なのだ。
「奥さんはきれいだよね」
「え?」
「箸の持ち方」
「あ、あのね、私も昔は汚かったの。でも料理人の妻がみっともない、って主人が…」
思いがけないことに、そこでぱたりと涙がこぼれた。まさかと麻尋を見ると麻尋が驚いている。間違いなく、今自分が泣いているのだ。
「ご、ごめんなさ」
麻尋が肩を抱き寄せた。無言でいいよ、泣いて、と言っていた。どうしたことだろうか、急に亡くなった夫を思い出したからだろうか、それだってこうやって泣いたことはなかった。思い出したくないと、聞かれるのを避けているうちに、誰も話題にしなくなって、それに安心していたのに。なのに今、かつきは自ら思い出して自ら泣いている……わかっている。本当は彼に聞いてほしかったのだと、彼の前で泣きたかったのだと、それほどに自分はこの子に……
「ねぇ」
麻尋の息づかいを耳元すぐに感じて驚いた。
「慰めあおうか?」
聞いたことのない声だと顔をあげてかつきは更に驚いた。この子は……いや「この子」ではない。そこには一人の男がいた。しらなかった、きづかなかった。けれどもそれをはっきりと、かつきの中の「女」が教えていた……。
++++++++++
ザッツ昼メロ。めざせ月金1(月9とかけているらしい)(つまりは平日1時枠)の女(笑)。
麻尋くんの南瓜の煮付けの話は、その昔みらゆか目当てで買った宝塚ふぁんに掲載されていた星組88期インタビューにあった「好きな煮物は?」の回答にちなんでいます。いやそこまでしなくても。
ちなみにかっちゃんのお店の名前は「季節料理 かつ季」です。
またしても北豆間で盛り上がりすぎている気がしなくもないんですが、何か反応もらえたらすごくすごく嬉しいです。
05月04日(金)
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