ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■来年の花火のときには
 それからまいにち大まくんは日が暮れるまでれおんたちと山や川を走り回った。都会の遊びしかしらない大まくんには何もかも新鮮で、ときどきれおんたちにはこんなこともできないのかとバカにされるけれど、でもねおばあちゃん、僕は今日一番おおきなカブトムシを捕まえたんだよ!毎日毎日おばあちゃんにその日あったことを報告する。おばあちゃんは目を細めてうんうんと聞いてくれる。おばあちゃんは何か縫い物をしていた。「おばあちゃん、何を縫っているの?」「みらちゃんの浴衣だよ」村の鎮守さまでは、お盆に夏祭りが行われる。その日は、みんなが帰省するからこの村も賑やかになる。大まくんのおとうさんもおかあさんも、ちゃんとおやすみをとって戻ってくる。
 夏祭りの日、子供たちはみんな浴衣姿で朝から走り回っていた。村の社が一年ぶりに開けられて、少ないながらも屋台も出て、川には精霊が流れされて、楽しい楽しい村祭り、夏休み。そんな夜に大まくんはひとりの不思議な女の子に出会う。おかっぱ頭の金魚の柄の浴衣の女の子。お前だれだと言うより前に、そうだ先に名前を言わなくちゃ「僕の名前は大まみらん!」けれどもその女の子は何も言わない。ちょこんと首をかしげる。うわー、すごくかわいいなぁーと思っていると、女の子がぐいっと手を引いて「あそぼ」と大まくんを引っ張っていった、二人で川原で遊んで、わたあめを買って、そして女の子に大まくんは言った「ぼくきみのことがすきだ、大きくなったら結婚しよう!」女の子はうんと言って去っていってしまった。ねえ君名前は?結局教えてくれなかった。
 祭が終わった翌日、れおんたちにつかまって、お前昨日はどこにいってたんだよー、せっかくみんなで西瓜割りとか花火とかしたのによー、え?僕昨日はお祭りにいたよ。お社の傍で女の子と遊んでいたよ?ところがそんな大まくんを見かけた子は誰もいない。そしてそんな年頃の女の子はこの村にはいないという。「きっとそれゆーれいだよ!」そうか僕はゆーれいちゃんにぷろぽーずしちゃったのかとうなだれる大まくん。でもゆーれいでもいいからまた会いたいな、だって僕あの子の名前まだ聞いていないもの……大まくんのひと夏の不思議な思い出。
 夏休みも終わる頃、大まくんをおとうさんとおかあさんが迎えに来た。「お前来年も絶対来いよな!」れおんたちとゆびきりげんまんをする大まくん。けれどもおばあちゃんと別れるときにはわあわあ泣いてしまった。おばあちゃんも泣いていた。わがままばかり言ったけれど、おばあちゃんのことは大好きで、おばあちゃんも大まくんのことが大好きだから。
 ぼくのなつやすみ、僕の小学三年生のなつやすみ。



 っていうゲームがあったら、延々とやると思うなわたし!(つうかそれもうゲームじゃなくてSSだから)。
 で、このゲームには続編もあります。



[ぼくのなつやすみ2]


 けれども翌年から中学受験の為に塾に通い始めた大まくんは、なつやすみにおばあちゃんちに行けなくなってしまった。中学生に上がる頃には、おばあちゃんちに行くなんて子供みたいなことできないし、ましてや一番「こども」だった自分を知っているおばあちゃんに会うのも恥ずかしい。「みらんー、おばあちゃんから電話よー」電話をかけてくるおばあちゃんいもぶっきらぼうに対応して、おばあちゃんが色々なものを送ってきてくれても、「余計なことしなくていいから」とつっぱねて。そんな風にあのなつやすみはどんどん遠くなっていく大真くん。けれども本当はおばあちゃんのことは今でも大好きで。そして思い出すあの仲間たちとのたのしいなつやすみ、そして今でも忘れられないあの女の子……。


 大真くんが次におばあちゃんちに行ったのは、おばあちゃんが死んでからだった。おばあちゃんのお葬式は村でしめやかに行われた。大学生四年生のなつやすみ。大真くんは、おばあちゃんの亡骸の前でやっぱりあの時と同じようにわあわあ泣いた。気がつくと、傍にれおんたちがいた。久しぶりだと言う前に、れおんたちもおばあちゃんにはお世話になったとみんなで泣いた。

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08月07日(月)
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