ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
[827121hit]
■ほどいて、といて
真飛担とかおりちゃんの脳内と夢の中(笑)で話題沸騰だったフラウの蜷川×真飛記事を立ち読みしてきました(買えよ)。私的にアレは「海賊船にとらわれの王子様」です。あの髑髏や十字架やらタッセルみたいなひらひらは強奪品で、王子も一緒に船室に閉じ込められています。つうか王子が強奪品(真顔)。目線の先には、王子を攫ってきた海賊がいます。
襲った宮殿にいた王子を何故か殺さずにつれてきた海賊(もちろん涼さん)(ええ?)(幼いころに海賊に攫われた高貴な家の子弟という裏設定付)。捕らわれた王子は臆することなく、状況がわかっていないのかといういぶかしむほどに、生まれて初めて見る青い大海原に魅せられていた。そして海賊はその王子のなかに広がる海よりも空よりも青い青に魅せられていた。捕らわれの身がつらくないのかと問えば、宮殿よりもよっぽどこの船の方が自由だと王子は笑う。そうか彼はずっと宮殿という閉ざされた世界から、常にはばたきたいと、そのうちに真っ青な空を抱いていたのだ。海とも空ともつかぬ地平のはてまでひろがる青い世界を抱いていたのだ。その青に海賊は魅せられた、いや、いっそ囚われた。捕らわれの身を意に介さない王子に囚われた海賊……。
王子は海賊の生活にすぐに慣れ、誰よりも海賊らしくなっていった。海賊仲間にも馴染み、誰もが彼を王子ではなく仲間としてみていた。日に焼け、逞しくなり、王子は一気に少年の階段を駆け上った。そのめざましい過程に海賊は目を細める。それは自分が置いてきたものだ。物心つけば海の上にいて、そこには少年も大人もなく、ただ「生き残るもの」と「生き残れないもの」の二つしかなかった。「生き残るもの」になるために、海賊には少年という時間はなく、いつしかこの船を率いる海賊の頭となっていた。
そして時は瞬く間に過ぎていった。その間に海賊はずっと考えていたのだ。なぜ、自分はあの時彼をつれてきたのだろうか、と。宝は奪っても命を奪わないのが海賊の信条だった、けれども顔を見られたときは容赦なく相手を殺した。あの時、海賊は王子に見られたのだ……いや、見つけたのかもしれない。
長い航海の経て、海賊の船は王子の国の港に近づいた。海賊は王子を陸に返そうと決心していた。大海原の上で、海賊稼業もすっかり板についた王子に海賊は聞いた「帰りたくはないのか」と。王子は「帰らなくていい」と答えた。けれども海賊は王子を返そうと思った。捕らわれの王子を解放することで、自分が囚われてはいないのだと、証明したかった。
しかし、そこに王子の国はもうなかった。財宝目当ての海賊稼業、宝は奪っても命は奪わない。あの時も、陸に攻め入り財宝と王子だけを攫って逃げてきたのだ。しかしそれを火蓋として、王子の国には内乱がおこり、王族はすべて追放された。それを、攫って逃げてきた海賊も攫われてきた王子も今始めて知ったのだ。
甲板から陸を見つめる王子、そこには何の感傷もありえない、とふるまっていた。手すりに置かれた手がかすかに震えているのを海賊は見逃さなかった。どんなに「海賊」に染まっていても、やはり彼は王子なのだ。そこには、祖国を奪われたことへの怒りがあった。深い深い悲しみがあった。その青は今まで見たことのない青だったけれど、それにも海賊は魅せられて、そして、また囚われる。
「俺が言う筋じゃねえかもしれないが。いや、違うな、罪滅ぼしにはならないかもしれないが」
「……何だ?」
「俺たち海賊には、欲しいものは奪う、奪われたものは奪い返す、この二つの作法しかない」
「……」
「どうだ、俺たちと一緒に、アレを奪い返してみないか?」
指差す先は、かつての王子の国。
「どうして、だ?」
「お前は海賊だから、奪われたものは奪いかえさなくちゃいけない」
「……」
「そして俺は、欲しいものを奪いたい」
「『国』が欲しいのか?」
「……すべてが、欲しい」
すべての青が欲しいから。
「だから、俺たちはアレを奪う。どうだ?」
王子は目を閉じた、ひとつ呼吸を吐いて、そしてその目に強い光を宿らせて言った。
「わかった」
[5]続きを読む
05月20日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る