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マシンガン★リーク
by 六実
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■ナパームスクエアの73%はマイナスイオンで出来ています
革命は成功したはずなのに、どうしてピエール坊やは死ななくてはならなかったのだろう?泣きながらそうあなたに聞こうとしたけれど、あなたの顔を見たら、聞けなくなった。
あなたの方が泣きそうだった。
今日はピエール坊やのお葬式だった。棺桶を買うお金すらなくて、皆でありあわせの板で棺をつくって、教会の墓地に埋葬した。
「お帰りなさい」
帰ってきたあなたを出迎える。あなたは目を真っ赤に泣き腫らしていたけれど、それを私に悟られまいと、懸命に顔をそむけたり、髪をかきあげたり、鼻を擦ったりしている。
泣いてはいけない、そうあなたは強く思っている。だから
「もう、しかたないひとね。またお酒を飲んできたのね」
「え、ああ、うん……」
「ほどほどにしてくださいって、いつも言っているじゃない」
いつもいつも繰り返されるわたしのお芝居。あなたはそれにいつも何も言わずに応えている。
泣いてはいけない、革命は成功したのだから。
泣いてはいけない、貴族は殺されるべきなのだから。
新聞記者として社会を冷静に見ようとするあなたは、喪われた幼い命を悲しむより、その事実を見据えこの社会の問題を世間につきつけるべきだと思っている。
革命の闘士としてこの時代を生きるあなたは、喪われてゆく誰にもひとしくある命を悲しむより、彼らを民衆の、社会の敵として憎むべきだと思っている。
あなたはきっとそれを求められて、そうあろうとしているのだ。
けれども、本当は泣きたいのだ。本当は喪われる命をいとおしみ、革命がもたらした幸せな筈のこの社会の不幸を憂い、そして涙を流したいのだ。
それが許されない事だとわかっている。それを自分自身で許していないのだ。
それでもわたしは、あなたに泣いて欲しいと思う。その涙はなによりもあなた自身なのだから、わたしが一緒にいたいと願った、ベルナール・シャトレ自身なのだから。
椅子に腰掛けて、よっぱらったふりをするあなたに近づく。
「……ロザリー……」
わたしを抱き寄せ、よっぱらったふりをしてわたしの胸に顔を埋める。
泣いて、お願い泣いてしまって。わたしも精一杯、気付かないふりをするから
「もう……困った人ね」
その黒髪に頬を埋める。あなたが流す涙を、受け止めるように。
「あまえんぼうさん……」
そうやっていつまでもわたしの胸に顔を埋めたまま、よっぱらったふりで甘えたふりで、そして涙を流すあなたを抱きしめながら、いつしかわたしも泣いていた。
きっとあなたも、それに気付かないふりをしてくれるだろう。
泣いてはいけない。だからここで泣いてしまおう。
いつかきっと、あなたが泣かずにいられる日がくると信じて。
――――――――――
椎ベルナール×陽月ロザリーです。
全ツの時に書いた紫ベルナール×琴ロザリーのテキストと比べると、同じ役でもこれだけ違うのだなぁと感慨深いです(そしてお客さんがむっさんのドリームにうんざりです)。
前にも感想で書きましたが、椎ベルナールはその人間味から溢れずにはいられない感情のほとばしりを、懸命に冷静に抑えようとしているように見えました。
ベルばら感想文はだいぶとりこぼしてしまったのですが、SSはとりあえず予定していたものを書ききりました。つうか予定を組まなくちゃいけないほど漏らすなー!(爆笑)気がすみました。お付き合いありがとうございました。
04月05日(水)
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