ID:26167
マシンガン★リーク
by 六実
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■用法・用量を良く守って
これは涼さんのジェローデルが「オスカルが好き」という態度を匂わせていないとか、そういう意味じゃなくて、涼ジェロの佇まいがそう思わせます。劇中で何度となく「涼ジェローデルは傍観者だ」と思ったんですね。別に今宵一夜を覗き見したから(いやしてない)という訳じゃなくて、涼ジェローデルは自分の領分を徹底して線引きしているんじゃないかと。
ジャルジェパパにオスカルが殴られた時、ジェローデルがオスカルに駆け寄らないのは、間髪入れずアンドレが駆け寄るからじゃなくて、駆け寄れないんじゃないかと(多分、アンドレがいなかったとしても駆け寄ったりかばったりしないと思う)。そういう距離感を感じたんですね。もっと言うと、オスカルをずっと見ていた(それこそ今宵一夜も)(だからそこにもっていくなよ)ジェローデルは、オスカルとアンドレの間には入り込めない、というのを絶対的な事実として理解している。そして「アンドレにはかなわない」「自分はアンドレのようには出来ない」という事も。きっとジェローデルが最初にほのかにオスカルに恋心を抱いた時に、既にオスカルにはアンドレがいた、そしてオスカルの想いはフェルゼンに向いていた。
ジェローデルにはフェルゼンのように「かなわぬ恋と知りながら」突き進むことも、オスカルのように恋心を押し隠す事も、アンドレのように「報われぬと知りながら」ただ自分だけが思いつづけることも、できなかったんじゃないか、と。かた恋をする前に終わってしまったジェローデルの恋。自分の中に芽生えた恋心を、育てることができなかった。彼は常に自問していたんじゃないのかなぁ、自分はどうやら隊長が好きらしい、けれども自分はあのように恋に向かうことができるのか、フェルゼンのように、オスカルのように、アンドレのように。きっと今回の物語の時間枠では、そのオスカルへの恋心に既に終止符を打っている。だから「かつて好きだった」。一幕最後で「様々な愛を知った」というフェルゼン、でもそのフェルゼンの愛も知っているジェローデルは、フェルゼンよりも一つだけ多く「様々な愛を知った」立場であるのかもしれない。って考えると萌えませんか?(聞くな)
そう思うとこのベルばらって、「初めて心から愛する人を見出した時」に、(その時点では)それが叶わなかった5人の物語なのかもしれない。アントワネットは「初めて心から愛する人を見出した時」に王の妻であり、フェルゼンは「初めて心から愛する人を見出した時」にそれは叶わぬ恋であり、オスカル、アンドレ、ジェローデルは「初めて心から愛する人を見出した時」その相手は他に想う人がいた、という図式が成り立つ訳です。ところが最終的にはフェルゼンとアントワネットが(いや最初からではあるけれど)、オスカルとアンドレがくっつく訳ですから、ジェローデルがまんまと余りますな……教訓:合コンは男女同数でって話がずれてる!
もう一つ、ジェローデルの線引き、そして傍観者であるのを感じるのは、やっぱり彼が「貴族」だからかなぁと。人間である前に、男である前に、「貴族」だったんじゃないかと。これは涼さん自身の「貴さ」が充分に発揮されたが故かと思います。面白いなぁと思ったのが、涼ジェローデルはどうみても平民には味方してないですよね?ブイエ将軍に「隊長と同じ意見かね」と問われて、意見は同じというけれど、その理由が違う。オスカルみたいに平民を守る気持ちではなく「約束を破るのは悪い事」っていう理由、もっと言うとオスカルの言う事だからジェローデルは「同じ意見」な訳で。実際に、原作ベースで考えるとあそこでジェローデルが「同じ意見」と言うのは違和感があるんですが、この線引きと「そうは言ってても涼さん、いやジェローデルは貴族だし」というのが見えてくるので、違和感は全く感じないんです。
その後、フェルゼンに助けを求めに行くジェローデルも、徹底して貴族だと思います。彼の文脈に平民への同情と革命への同調は全く無い。けれども時代を見つめ、見据え、事実を理解し、そして隊長の遺志を継ぐ為だけにやってきた。
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04月02日(日)
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