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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「南方人物周刊2017-4-24」金城武インタビュー・3(完)
撮影が中断したら、待ちます
――あなたが20代のとき撮った南極ドキュメンタリーを見ましたが、
非常に悟ったような感じを受けました。
普通の人なら、おそらく50代でようやくそうなるのでしょうが、
あなたは20代でもう物事がわかってしまっている。なぜでしょう。
金城武 本当ですか? それは南極だったからなんじゃないかなあ。
あの死骸のところのことを言ってるんですか?
――あれだけではありませんよ。
あなたは動物たちの生きている様を観察して、すごくいいと思い、
そこから自身の生活に思いをはせて、万物を傍観する感じがあります。
武 なぜと聞かれても、ぼくもわかりません。
ぼくがものぐさで、あまり積極的ではないからかもしれませんね。
仕事を何年間に何本やるか、これも全部、
そうしようと思ってそうなったわけではない。
ちょうどそのときに、チャンスをくれる人がいて、
内容も面白そうだと思えるもので、時間的にもうまく合って、
そして出演したものばかりです。
決して自分が1年に何本出ようと決めたわけではない。
決めたいと思っても、そんなこと無理です。
――つまり、意識して、仕事間隔をあけているわけではないと?
武 掛け持ちはしたくありませんけど。
前は掛け持ちがとても多くて、すごく疲れました。
あの頃は、それがあまり多いものだから、
今自分が何を演じているのかわからなくなるほどでしたよ。
この現場が終わったら、別の現場に行くというのは、お金をもらえるから、
ここではこの衣装を着て、このせりふを言う、という感じでした。
そういうのはしたくない。1つのことに専念したい。
だから、今は、やるときは1つだけ。
その仕事が中断することもあるけれど、そうしたら、待つ。
でも、そういう中断のとき、他の人は別の仕事に行ってしまうことが多いので、
撮影が遅れて、待つ時間が長くなることもあります。
ぼくは多分、そんなに積極的じゃないんだと思います。
――待つのが長くなっても焦りませんか。
武 もちろん、あまり長くなるのはいやですよ、かなりきついので。
というのは、役の状態をその間キープしないといけないからです。
――例えば「太平輪(ザ・クロッシング)」は何年もかかりましたよね?
武 「太平輪」は本当にくたびれましたね、気持ちがくたびれた。
ああいう悲しい状態をずっと維持しなくちゃいけなかったんですから。
あるとき、泣く芝居をすることになってる日があったんですけど、
携帯に、台湾の台風で金城武の木が倒れたとかいうニュースが次々表示され、
笑ってしまうような写真も次々に目に入てくるわけです。
今日は泣く芝居をしなきゃいけないのに。
あのとき、ああ、自分はずっと厳澤坤(ザークン)の状態でいたんだなと、
初めて気が付きましたよ。
――テレビ番組で、あなたは何かするとき、考えすぎてしまうので、
荷物をまとめるときも、迷いに迷って最後の最後でスーツケースに入れるんだと、話していましたね。
自分ではそういうところを変えたいと思っていますか。
武 変えたいけれど、変えられない。
変えられないことはないのかもしれませんね、でも相変わらずこうなんです。
たくさん物を持っていきたいんだけど、もうじき家を出る時間で、
時間がなくなってるのに、床は入れようと思って出してきたものでいっぱい。
で、持っていったら、現地で簡単に手に入るものだったりして、
ほんとに時間を浪費しているんだけど、どうしていいかわからない。
――ずうっと前のインタビュー動画で見ましたが、
子どもの頃、日本人からは台湾の人間だと見られ、台湾の人からは日本人だと見なされて、
ずいぶん困惑したと話していました。
その後、いつ頃からこだわらなくなりましたか。
武 いつのまにかですね。
実は誰かが君は何人だといっても、多分どれも正しいんですよ。
ならば、あれこれ考えることはないのじゃないかと。
今は、生き物として、でもいいし、1人の人間としてでもいいけれど、
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07月28日(火)
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