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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■「南方人物周刊2017-4-24」 金城武の隠れ身の術・1
あるのはお湯だけで、コップが並べられており、のどが渇けばそれで飲む。
監督にはささやかな特権があった。
協賛の缶コーヒー会社が缶コーヒーを20箱ほど、
撮影チームに提供してくれたのである。
これは監督用と言ってよく、朱延平は毎日水代わりに飲んでいた。
金城武が朱延平の椅子の脇に来てしゃがむと、言った。
「社長さん、コーヒーご馳走してくださいよ」
朱延平は喜んだ。この子にこんなユーモアがあったなんて。
(訳注:これがなぜユーモアかと言うと、社長さん、仕事を下さい、という意味で、
ご飯をご馳走してください、という言い方があるのですが、
武はこれをもじって監督にコーヒーをご馳走してください、
と言ったというわけなんです)
「いいよ、ひと缶ご馳走しよう、どうだい?」
缶コーヒーは20台湾元で安い。
「20元の問題じゃない、気持ちの問題だ。
後になって、彼は台湾に戻ってくるたび、
私に2万元の鉄板焼きをごちそうしてくれた。
私の投資は大変価値があったと言うわけだ。
20元のコーヒーが2万元の鉄板焼きに変わったのだからな」
と朱延平は笑う。
金城武が冗談を言う範囲は、親しい人間に限られているが、
彼と親しくなるのは生易しいことではない。
ヒロインとして金城武と恋人同士を演じたことのある葉全真は
「ほんとに変な人だった。何を考えているのかわからないので、
私もあまり近づかなかった」と話している。
撮影チームの中で、彼のことを面白いと思っていたのは、
朱延平の他は、おそらく5歳のハオ・シャオウェンだったろう。
2人はいつも一緒に蟻を捕まえたり、ままごとをしたりして、
1時間も2時間も遊んだ。
ずっと後、「LOVERS」の撮影現場で、記録映画の監督が
同じような情景をカメラに収めている。
金城武は赤褐色の小さな蛙を見つけると、興奮して掌にのせたり、
小さなカメラ、あるいはビデオカメラを構えて森の中の小動物を、
しゃがみこんで、あるいは高みに向けて撮ったりしている。
このとき、5歳の子は一緒ではなかった。
朱延平はだんだんと、お笑い担当の役を金城武に振るようになった。
「危険な天使たち」で、金城は人のまねをして粋がり、女性に無視され、
隣のニッキー・ウーはいつでも大もてだ。
後に、これは当時金城武の地位が低かったことを表していると、
分析した者がいる。
しかし朱延平の考えでは、コメディにあっては、
おかしいことこそが何よりも重要なのである。
上映当時、金城武は何度も見に行っている、それも友人たちを連れて。
見終わった後、朱延平に、本当におかしかったと電話をかけた。
「自分のコメディの演技に満足していたね」と朱延平は言う。
「私も大したものだよ、彼の喜劇の天分を最初に見出したんだからな」
後に、ウォン・カーウァイは「天使の涙」を撮ったとき、こう語った。
「金城武には特質があって、喜劇のリズム感がいい。
だから、わざと難題を与えて、口のきけない役を与え、
仕草だけで表現するようにさせたのだ」
自分のかたわらにしゃがみこんでコーヒーをおねだりした少年が、
成長して光り輝くような美しさになるとは、朱延平は思ってもみなかった。
朱延平がそれに気づいたとき、金城武は既にアジア全体の人気者になっていた。
「正直に言うと、彼が後にこんなにかっこよくなるとは思わなかった。
少年から男に成長した。本当に驚いたよ」
(続く)
BBS ネタバレDiary 22:00
06月18日(木)
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