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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■金城武とクー・チェンドン(聯合報)
記者と芸能人は、心の成長を競っているようなところがある、とよく思う。
初めて取材したときは下っ端の芸能人かもしれない。
10回目の取材のときには大スターになっていたとしても、内面の知恵もぐんと豊かになったか、
あるいは、盛り立て甲斐のないドラ息子のままなのかは、はっきりわかる。
言い換えれば、私のほうが芸能人に勉強していないと叱られることも少なくないということだ。
金城武はクー・チェンドンより、もっと年少でデビューしている。
純真さ、幼稚さ、周りが見えないなどなど、青春に付き物であることは彼はすべて経過してきた。
しかし、自分自身を見つめること、仕事に打ち込むことには、
友達と夜店で遊ぶよりもずっと多くの時間を割いた。
哲学を好み、仏教を研究したことで、彼は絶えず成長し、
インタビューのときにはどの質問にも丁寧に考えた上で答える人間に変わったのである。
監督のピーター・チャンは反応の速い、明快な思考をする人だが、
金城武との仕事では、いつも彼から「なぜ」の2文字を投げかけられてキリキリ舞いする。
この場面はなぜこういうふうに演じるのか? この役はどうしてこんなことをするのか?
金城武は1つ1つはっきりさせてから演技をする。
だから、中華電信4GのCMで「世界が速くなればなるほど、心はゆっくりと」という言葉は、
完全に彼の好みを投影したものに違いないと思う。
まさにこの、何事にも真剣であることによって、
彼は大スターになって以来ずっと、ほとんど悪評がない。
事実、まじめな芸能人は少なくない。
初めてクー・チェンドンをインタビューしたときは、
「あのころ、君を追いかけた」の脇役、アオチュエンが一緒だった。
アオチュエンは新人(クー・チェンドン)の引き立て役であることを気にせず、
追い越される焦りもなかった。
自分のグループに自信を持ち、一番したいことは両親に家を買ってあげることだった。
大学1年生のクー・チェンドンを同時取材して
一番印象的だったのはその金銭観だ。
自分の長所を善良なところと言ったので、私はどんな善行をしたことがあるかと尋ねた。
彼はセブンイレブンの募金に寄付したと言い、小銭を持つのが嫌いなのだと笑って付け加えた。
1カ月の小遣いは1万6000元で、ほとんどは服やカラオケに使うという。
知り合いの記者2人がクー・チェンドンについて話したとき、
彼を好きな1人は、少なくとも彼はうそを言わないと言い、
もう1人の彼を嫌いな記者は、彼はうそを言うと言った。
というのは、以前インタビューしたとき酒を飲まないと言ったのに、
夜店で酔っぱらっているのを写真に撮られたからである。
私は、彼は意識的にうそをついたのではないと思う。
どちらかというと、どうでもいいと思っていて、自分の話したことに無頓着なのだろう。
だから自分が前に飲まないと言った酒を無自覚に飲んでしまったのだ。
こんなふうに無頓着だから、彼は小銭を寄付することの重点は寄付にあるのか、
それとも小銭を持ちたくないという感覚にあるのか、考えたこともないだろう。
人生はチャンスに満ちている。
過ちを犯したクー・チェンドンは、チャンスをくれと頼むのではなく、
進んで償い、成長する気持ちがどのくらいあるかを自らに問いかけるべきだ。
多くの芸能人は仕事で絶えず自身に挑戦し、
自らを高めることでより良い作品を見せようとしている。
人生というものは名利を得たからといって優れた者になれるわけではないからだ。
リュック・ベッソンの映画「ルーシー」では、脳のほかに大事なものは時間だとしている。
若いのであるから時間をかけ、心を充実させてから、有意義な人生について語ろうではないか。
(王雅蘭/聯合報 2014.8.22)
王雅蘭は、以前にも過去の金城武のエピソードをちょこちょこと書いていますが、
芸能記者でないとわからない芸能人に対する感じ方というのもあるでしょうから、
今一つスタンスのわかりにくいときもあります。
でも、負の面も見つつ、今の成長した金城武を認めているように思います。
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08月24日(日)
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