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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■「孤立した貧困層」を直視する
資料
【正論】三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長・中谷巌
                   2009.5.28 02:39   産経新聞 

5月26日「日本の貧困層を直視する」と題して、過去のさまざま資料を収録した。きょうは三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長・中谷巌氏の論説を引用その要点を箇条書きにしたい。

・年収200万円未満の「貧困層」が1000万人を超えた。給与所得者の20%以上がこの層に属する
国民年金保険料の未納率が40%近くに達し、日本の年金制度は事実上破綻(はたん)している
・一人暮らし老人の孤独死だ。死後誰からも発見されずに長い間放置されるという、昔の日本ならとうてい考えられない事態が頻発している。
・現代日本が抱える最重要課題のひとつが「孤立した貧困層」の問題であることは間違いない
・今日の貧困は「社会からの孤立」を伴う。鬱病(うつびょう)が流行病のように日本社会に蔓延(まんえん)している。社会から孤立し、精神的に耐えられなくなっている日本人が増えているとしたら、それは無視できることではない
・日本では毎日100人近くの自殺者が出ている。そのうちどの程度の割合の人が「孤独に苛(さいな)まれた貧困」のうちに自らの命を絶つのだろうか。
・日本社会の温もりが消え、人と人との絆が希薄になり、人心が荒(すさ)み始めた。これが日本社会の現状だ。
・このまま突き進めば、日本社会はその本来の良さを失い、日本文明は荒廃に向かうだろう。この辺りで立ち止まり、「孤立した貧困層」の問題を直視すべきなのではないだろうか。        


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【正論】三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長・中谷巌
2009.5.28 02:39   産経新聞 

「共同体」崩壊が危機の本質だ
 ≪鬱病が蔓延する背景には≫
 年収200万円未満の「貧困層」が1000万人を超えた。給与所得者の20%以上がこの層に属するが、その多くは派遣やパートなど、非正規社員である。
 また、国民年金保険料の未納率が40%近くに達し、日本の年金制度は事実上破綻(はたん)している。このため、国民の多くは老後の生活不安で一杯だ。
 さらにひどいのは、一人暮らし老人の孤独死だ。死後誰からも発見されずに長い間放置されるという、昔の日本ならとうてい考えられない事態が頻発している。
 これらの現実から言えば、現代日本が抱える最重要課題のひとつが「孤立した貧困層」の問題であることは間違いない。
 「貧困」自体は今に始まったことではない。人間の歴史は飢えとの戦いの歴史でもあった。日本は幸いなことに高度経済成長の結果、貧困から脱出することに成功した。戦後日本人の生活水準は飛躍的に向上し、世界の人々が羨(うらや)むまでになった。だから、「貧困」が日本で最も重要な問題だといっても、にわかには賛成できかねる読者も多いだろう。
 しかし、今日の貧困は「社会からの孤立」を伴う。鬱病(うつびょう)が流行病のように日本社会に蔓延(まんえん)しているが、これも個人が社会から孤立し、心の支えをなくした結果である。昔のように、餓死するほどの貧困は確かに劇的に改善された。しかし、社会から孤立し、精神的に耐えられなくなっている日本人が増えているとしたら、それは無視できることではない。
 ≪成果主義が格差拡大助長≫
 同じ「貧困」でも、仲間と喜怒哀楽を共にでき、人と人との絆(きずな)が感じられ、互いに助け合える環境の中での「共通体験としての貧困」は何とか耐えられるものだ。しかし、話すべき人も身よりもなく、社会から孤立した貧困層は精神的な面でも厳しい試練に直面するのである。
 それを示すひとつの証拠は自殺の多さである。日本では毎日100人近くの自殺者が出ている。そのうちどの程度の割合の人が「孤独に苛(さいな)まれた貧困」のうちに自らの命を絶つのだろうか。

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05月29日(金)
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