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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■レスター・R・ブラウンリポート 人間のための都市設計
生涯青春の会のメンバーで環境問題の運動に参加している人が何人もいる。環境問題を考える時レスター・R・ブラウンリポートは多くの示唆を与えてくれる。今回は、人間のための都市設計を引用します。
要点を箇条書きで少し引用します。

1、都市が人間と車のどちらを重視して設計されているのか。
2、世界中の都市は苦境に立たされている。メキシコシティ、テヘラン、バンコク、上海、そのほかにも何百という都市で、日々の暮らしの質は低下している。
3、大気汚染のひどい都市のなかには、呼吸することが、日に2箱のタバコを吸うのと変わらないようなところもある。
4、コロンビアのボゴタで、「人間のために設計された都市」というビジョンに従い、市長はわずか数年で都市生活の質をすっかり変えてしまった。
5、ハーバード大学の生物学者、E・O・ウィルソン率いる生態学者のチームは、「生命愛の仮説」を打ち立てた。これは、自然との接触が奪われた人は精神  的な苦しみを負い、こうした接触の喪失によって、幸福感が目に見えて減退するという主張である。

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人間のための都市設計
レスター・R・ブラウン

数年前、テルアビブのホテルから会議場へ車で向かっていた私は、自動車と駐車場の圧倒的な多さに目を奪われていた。半世紀前の小さな開拓地から、約300万人の人口を抱える都市へと成長を続けているテルアビブは、自動車時代と共に発展してきた。私はふと、公園と駐車場の比率は、都市の住みやすさを表すのに最も適した唯一の指標かもしれないと、このとき思った。つまり、その都市が人間と車のどちらを重視して設計されているのかを表すのだ。

世界中の都市は苦境に立たされている。メキシコシティ、テヘラン、バンコク、
上海、そのほかにも何百という都市で、日々の暮らしの質は低下している。大気汚染のひどい都市のなかには、呼吸することが、日に2箱のタバコを吸うのと変わらないようなところもある。米国では、通勤者が、渋滞に巻き込まれて身動きが取れず、ただ座って過ごす時間が年々増えてきている。

このような状況に対する動きとして、新しい都市生活が現れている。現代都市が変革をとげた例の中で特に注目されるのはコロンビアのボゴタで、1998年から3年間エンリケ・ペニャロサが市長を務めたときのことである。市長に就任したペニャロサは、車を所有する30%の人々の生活がどうすれば向上するかではなく、大多数を占める自動車を持っていない70%の人々のために何ができるか探ろうとした。

ペニャロサは、都市が子どもやお年寄りにとって快適な環境であるなら、すべての人々にとってもそうであるということに気づいていた。「人間のために設計された都市」というビジョンに従い、市長はわずか数年で都市生活の質をすっかり変えてしまった。

市長のリーダーシップのもと、ボゴタ市は歩道を駐車禁止にし、1,200の公園を
造成または改修した。バスを基本とした高速輸送システムの導入は大成功をおさめ、何百キロもの自転車、歩行者専用道路を建設し、ラッシュアワーの交通量を40%削減した。さらに、10万本の木を植え、地域環境の改善に地元住民らを直接関わらせた。こうした施策により、800万人の住民の間に市民としての誇りが芽生え、動乱のコロンビアにあるボゴタの街中をワシントンDCより安全なものにしたのである。

エンリケ・ペニャロサは「特に公園など、公共の歩行者用スペース全般の質が高いことは、真の民主主義が機能していることを示すものである」と述べている。「また、公園と公共スペースは民主主義社会において重要な場である。なぜならそこは、人々が対等な立場で会うことができる唯一の場所であるからだ。……都市にとって公園は、水の供給と同じく、物理的、精神的な都市の健全さを維持するためには、絶対欠かせないものである」とも述べている。


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11月08日(木)
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