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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■レスター・R・ブラウンの論考
穀物争奪戦:スーパーマーケットとガソリンスタンドの戦い
http://www.earth-policy.org/Updates/2006/Update55.htm
レスター・R・ブラウン

●穀物利用の現状

2006年、世界の穀物消費量の増加の大半を占めるのは、人間ではなく、おそらく自動車である。米国農務省(The U.S. Department of Agriculture)は、2006年の世界の穀物利用量が2,000万トン増加すると予測している。このうち、1,400万トンが米国の自動車用燃料の生産に使われ、世界の増え続ける食糧需要を満たすために残されるのは、たったの600万トンである。

農産物を作る側の自動車用燃料に対する意欲は、世界的に止まるところを知らない。SUV車(スポーツタイプ多目的車)の約100リットルの燃料タンクを、エタノールで満タンにするのに必要な穀物。これは1年間に1人の人を養う量だ。2週間ごとに満タンにし、これを1年間続けると、26人が養えることになる。

投資家は収益性の高いバイオ燃料にいち早く目をつけており、世界のどこかで、エタノール蒸留所やバイオディーゼル精製所に関するニュースを聞かない日はないくらいだ。米国のエタノール蒸留所で使用されるトウモロコシは、2001年の1,800万トンから2006年の推定5,500万トンへと、5年間で3倍に増えた。

小麦やトウモロコシ、コメ、大豆、サトウキビなど、私たちが口にするものはほとんどすべて、自動車用燃料に転換できる。そのため、食糧市場とエネルギー市場との境界線が次第に失われつつある。これまで、農産物の買い手といえば、スー
パーマーケットで販売するために農産物を加工する、食品加工業者や家畜生産者だけだった。それが今では、別の買い手が存在する。彼らが購入した農産物は、エタノール蒸留所やバイオディーゼル精製所に販売され、その後ガソリンスタンドへと供給される。

原油価格の上昇につれ、農産物を、エタノールやバイオディーゼルなどの自動車用燃料に転換することによる利益は、ますます大きくなる。原油価格が事実上、農産物の支持価格になっている。農産物の食品としての価値が、燃料としての価値を下回れば、市場では農産物を燃料に転換する動きが出てくるものである。

●各国・地域のバイオ燃料生産の現状

現在、農産物を由来とする燃料生産の中心は、ブラジル、米国、西欧諸国である。
(詳細なデータはwww.earthpolicy.org/Updates/2006/Update55_data.htm. を
参照。)

1.ブラジル

エタノール生産の原料はサトウキビ。ブラジルは世界最大の砂糖生産・輸出国であるが、ここに来て、砂糖生産の半分が燃料用エタノールの生産へと切り替わっている。ブラジルの2005年のエタノール生産量は160億リットルを超えた。世界の砂糖生産量のちょうど1割がエタノールにシフトしているため、砂糖価格は倍増。もはや安価な砂糖は過去のものかもしれない。

2.米国

エタノール生産の原料は穀物(ほとんどがトウモロコシ)。2005年のエタノール生産量は160億リットルを超え、ブラジルを抜いた。今年、エタノール生産の原料となるトウモロコシは5,500万トン。これは米国のトウモロコシ生産量の6分の1近くを占めるが、自動車用燃料としては全体の3%に過ぎない。

コーンベルトと呼ばれる米国中西部に広がるトウモロコシ地帯にある一部の州では、トウモロコシの供給がエタノール蒸留所に奪われつつある。アイオワ州では、稼働・計画中のエタノールプラントが実に55もある。アイオワ州立大学(IowaState University)のエコノミストであるボブ・ウィズナー氏(Bob Wisner)は、「これらの蒸留所がすべて建設されたら、アイオワ産のトウモロコシは残らず利用し尽くされると言ってもいい」と述べている。トウモロコシ生産量上位10位に入るサウスダコタ州ではすでに、トウモロコシ収穫量の半分以上がエタノール蒸留所で使用されている。2005年5月、米国では100カ所目のエタノール蒸留所が生産を開始、現在拡張中の蒸留所は7、建設中のものはおよそ34、計画段階のものは数知れない。


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02月27日(火)
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