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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 死刑執行の遅れ「国民に不信感」=長勢法相
長勢甚遠法相は27日午前の閣議後の記者会見で、死刑判決が確定してから執行されるまで平均7年5カ月かかっていることについて「国民からすれば確定した後、そういうこと(執行)がないということは、法に対する不信感は生じることだろうと思う」と述べている。この種の報道で死刑確定者がどう思っているかを知る機会がなかった。
法務省の小津博司刑事局長は26日の参院法務委員会で執行の遅れについて「人命を奪う刑罰のため、機械的に6カ月以内に執行することが妥当を欠く場合もあり、慎重を期している」と説明している。執行するに当たって慎重を期しているので平均で7年5カ月も掛かっているというのである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000094-jij-pol
死刑囚の立場からするどうなるだろう。死刑が確定してから何時お迎えに来るか(死刑を執行されるか)との恐怖を毎日味わっているのである。刑事局長は死刑執行するに当たって慎重を期しているというが、死の恐怖を5年以上も感じさせることが妥当かどうかは疑問である。ある死刑囚の恐怖の手記を引用した。少なくとも死刑囚の入る独房では、人権の欠片もないとの印象である。
裁判・死刑に関する辞典
死刑囚が受ける恐怖
はじめに
死刑囚は多くの場合、死刑の執行そのものよりも、「いつお迎えが来るか分からない」「お迎えが来たとき、誰が執行されるか直前まで分からない」のが恐ろしいという。
これがどれほど恐ろしいのかは、外にいる我々には分かるべくもないが、過去に秘密通信という形で、死刑の恐怖を外に語った死刑囚がいた。名前は・・Nとする。彼は1950年代に九州のある都市で若者と共に銀行員を殺して、金と小切手を奪い、若者が事件の発覚を恐れて逃亡後には、他の一名をだまして手伝わせてその遺体を海に遺棄した(その遺体は現在に至るも発見されていない)。
一審で検察官は二人に死刑を求刑し、Nが死刑、若者は無期懲役となり、若者の方は被告・検察とも控訴せずに確定。Nは控訴・上告したが60年に上告棄却され、死刑が確定した。
彼は当時の福岡刑務所の死刑囚の中では、かなりの年長者であるが、それでも同囚の執行の際には、その恐怖が赤裸々に表れている。以下、その模様を1つ紹介する。
Oの処刑
OはNと同じ県で叔母夫婦ら3人を殺して、Nより7月ほど早く確定していた死刑囚で、Nとは最も仲のいい死刑囚であり、宗教的にも経済的にも助けて貰っていた。・・・・・
2月21日
朝の掃除を終わって間もなくのことだった。突然、廊下に大勢の靴音が高らかに鳴り響いて来たのである。お迎えだ!お迎えに違いない!地獄の使者のような靴音。瞬間僕の魂は震え上がった。
僕は吸い寄せられるように扉に近づいた。胴震いしながら視察孔から廊下の左の方を伺った。僕の部屋、つまり南側25房から15mほど離れたところに。大きなつい立てがある。胸の動悸を全身に感じながら、僕はそこを必死で見ていた。
ついたての陰から、まず私服姿の小柄な教育部長が現れた。続いて、制服の役人が十人あまりはいって来た。そのとき事務室から、係長が出てきた。係長は、教育部長を挙手の礼で迎えた。それから僕の部屋を指して、そばの看守に目配せした。
僕は息が詰まった。もう外を見ていられなくなった。僕は、弾かれたように扉のそばを離れた。首筋から背中にかけてゾッとするほど冷たいものがへばりついていた。僕は机にもたれかかるようにして座った。係長は確かに25房を指した。うろたえてはいたけれど、はっきりとそれを見たのである。僕は胸の早鐘を聞きながら、人心地もなく机にしがみついた。粗末な机がガタガタ鳴った。「早く来やがったな!」そう思った。
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10月27日(金)
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