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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■米航空業界の賃金カット
 アメリカ発のさまざまなニュースがある。この国で起こることは、日本でも起こるとの前提が必要である。アメリカの企業は、ウォルマートに代表されるようにいかに安く物とサービスを提供するかとの哲学に基づいて行動している処が多い。

 「低コスト航空と呼ばれる新興勢力のシェアは今年初めて20%を突破する」(6月21日 日経から)という。 100キロ飛んだ時の1座席当たりのコストは、サウスウェスト航空が41ドル(515五円)に対して、大手のアメリカンは63ドル(7875円)と53%も高い。これでは競争の勝敗は目に見えている。

 この新興航空勢力と競走するため大手航空会社での賃金カットの動きが激しい。その内容が凄まじい。「UALは6つある労組のうち、最も賃金の高いパイロットの組合(9200人)と年間約2億4000ドル(約300億円)のカットで合意した」(同)という。

 これは年収にすると、独り当たり320万円のカットになる。その他管理職などの非組合員も4億3000万ドル(約540億円)の報酬カット(1人当たりは不明)を実施すると言う。すなわち、航空コストを新興勢力に近づけないと旅客を奪われてしまうのだ。

 UAエアの賃金カットの内容を引用しよう。「2004年まで従業員の賃金を毎年5%削減することで労組と合意した」(同)という。更に「2005〜2009年までの5年間、毎年5%以上の賃下げを実施する方針」(同)であるという。8年間に渡って、毎5%以上の賃金カットを続けるというからビックリだ。

 2001年30万円だった従業員が、8年間毎年5%の賃金カットがあると、8年後の賃金は20万1000円になる。こんなに激しい賃金カットを堂々と発表するアメリカ企業をどう評価したらよいのか戸惑う。

 米航空大手はテロと、今述べた低コスト航空会社の影響で上位6社が総べて赤字だ。「2001年の最終損失が上位6社の合計で76億ドル(約9500億円)と、過去最悪だった92年を上回った」(同)という。
 
 よって、前記したように1社当たり1〜2000億円近い賃金カットをしないと破産してしまう。「UAエアは連邦破産法11条の申請を検討中」(同)と表明している。

 アメリカの企業は、高コスト体質になった時、いとも簡単に市場から淘汰されて行くという鉄則が貫かれている。日本は輸入品という外圧だが、アメリカは自由経済のルールで、物とサービスの価格が下がるパターンだ。

06月25日(火)
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