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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ サブプライムローンの損失額
今や金融機関や投資家にとって「つうこんのいちげき」以外の何物でもない呪文にすら聞こえる「サブプライムローン」。「アメリカの住宅ローンが何で日本の株式市場にまで影響を与えるんだッ」と頭を抱えている人も多いだろうが、情報と金融商品とキャッシュが世界を駆け巡っている、つまり「国際金融化」が進んでいる証しなのだから仕方が無い。先日金融庁が「管轄内の金融機関におけるサブプライムローン関連商品保有額は1.4兆円で、現在の損失額は2760億円」と発表したが、「本当にそれだけなの?」と不安に思っている人も多いだろう。そこであちこちの資料を集め、分かる範囲での国内外における「サブプライムローン関連の損失額」をリストアップしてみることにした。


●サブプライムローン、そして関連商品の特性について

まずはおさらい。「サブプライムローン」とはアメリカにおいて信用担保力の低い人たち(主に低所得者)に対して行なわれた住宅ローン。信用力が低いため一般のローンと比べると金利が高く、さらに2年後から金利が急上昇するのが特徴。住宅供給が過剰となり住宅市場が低迷し、また金利上昇後に支払いが出来なくなり住宅を追い出される低所得者層が増加、ますます住宅市場が飽和状態となると共に「サブプライムローン」そのものが焦げ付きつつある。それと共に「サブプライムローン」を組み込んだ各種証券も大きな損失を抱えているのが現状。

組み込み方も単純にまとめてではなくて、分割して行なわれているため、どれだけ「サブプライムローン」分があるのか把握しにくいのが現状。例えるなら定食屋で出された野菜炒めの中に、どれだけ国産の野菜があり、中国産の野菜が含まれているのか分からない状態。

さらにサブプライムローン関連商品は一般証券と比べると流動性が低く、一度需給のバランスが崩れると加速度的に価格が乱高下したり、売買そのものが難しくなる傾向がある。現物株式や先物、FXのように、常に多数の売買注文があり取引が成立しているような、高流動性の商品ではない。商品ブローカー同士のやり取りで売買されるものがほとんどで、いわばお寿司屋や日本料理店の「時価」のようなもの。そしてこの「時価」の決定には証券会社の格付けや関連商品の需給が、一般証券以上に大きな影響を与える場合もある。

元々売買している投資家が少ないのだから、一斉に売りに出されたら、そしてそのような状況が起きうる環境になっていれば、買い手がつかないのは明らか(例えば今年で制度がまるっきり別物に変わる国家資格試験において、過去の問題集を積極的に買おうとする人がどれだけいるだろうか)。

サブプライムローン、そしてその関連商品はまさにそのような状況にある。多分に心理的影響もあるが、投売りに近い形であることは事実に他ならない。

●損失額のリストアップ

それでは実際に、損失額をリストアップしてみることにする。当サイトではすでに【9月末時点のサブプライムローン関連商品保有額は1.4兆円、損失額は2760億円】で示したように、金融庁が「9月末で国内金融機関の簿価は1兆4070億円、含み損1350億円、確定損1410億円」という数字を出している。他にも内外で大手金融機関がそれぞれ損失額を計上しているが、海外においてそれらをまとめる(といってもすでにまとめてある記事をさらにまとめたものだが)と次のようになる。


■海外の主要金融機関の損失額

シティーグループ……1兆5070億円
メリルリンチ……9240億円
バンク・オブ・アメリカ☆……7260億円
モルガンスタンレー……5060億円
UBS☆……4200億円
HSBC☆……3740億円
ドイツ銀行☆……3500億円
バークレイズ☆……3000億円
ワコビア☆……2750億円
AIG……2700億円
クレディ・スイス……2200億円
JPモルガン・チェース……1760億円
ゴールドマン・サックス……1650億円
リーマン・ブラザーズ……770億円
ベア・スターンズ……770億円(※東洋経済では2260億円)

※【USA TODAY】から抜粋
※1ドル110円で換算
※☆マークは週刊東洋経済12月1日号から抜粋



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