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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■人の話しを聞き広角的な視点を持とう。
 「官頼み、官任せはダメ。文句を言うだけの『お任せ民主主義』はやめよう」。三重県知事をつとめた北川正恭・早稲田大学大学院教授が語ったことがある。
 確かに、民主主義の先輩である英仏両国や米国などと比べ、日本では「お上に任せておけば何とかなる」という意識が強い。この「お任せ民主主義」と決別することだ。
 これから大事なのは、限られた財源のなかで優先すべき公益は何かを見定めて、そこに資源を振り向けていくことだ。その過程を有権者がしっかりと監視し、判断の妥当性をチェックしていかねばならない。
 選挙の時だけでなく、選挙と選挙の間も有権者が政策を吟味してこそ民主主義は機能する。そのためには、政府が思い切って情報公開を進め、同時に国会などを通じてきちんと政策やその意図を説明する責任がある。
 有権者が選挙の時だけの主役になってしまうと、政党は耳あたりのいい公約ばかりを並べるだろう。政権交代のたびに政策は揺れ、無責任な借金の山が積み上がっていく。社会保障や税制改革での「国家百年の計」など望むべくもない。
 責任感のある政治を実現するには、国民総参加が欠かせないのだ。
■民からの政策提言力
 民主党が掲げる政治主導は、単純に「官」の力を弱めることでは達成できない。民の力を高め、官民あわせた総合力を発揮させていくのが政治の役割だ。そのためには、民から政策提言する力を伸ばす必要がある。
 国内問題でも国際問題でも、米国や欧州諸国では政府や議会に政策を提言するシンクタンク、NGOがたくさんある。それによって多様な民意が反映された、質の高い政策論争を生み出している。
 日本には官庁系、企業系のシンクタンクは多いが、非営利・独立で国際的に評価の高いものは皆無に近い。NGOの活動を支える財政基盤も弱い。
 昨年、クラスター爆弾禁止条約づくりで政府と国会に政策提言し、実現への原動力となった地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)も、活動資金の一部を英国のダイアナ記念基金からの支援に頼っていた。
 原因のひとつは、寄付控除が認められる非営利法人となる条件が厳しすぎることだ。民主党はマニフェストに、寄付税制の改革も含めた非営利法人の活動促進を盛り込んでいる。実現を急ぐべきだ。
 企業も個人も、期待するシンクタンクやNGOに寄付する形での政治参加に、もっと積極的でありたい。
 官の側は、シンクタンクや提言型NGOの力が増すことを敬遠しがちだ。だが、官はもっと外と積極的に知恵比べをし、政策を磨くべきだ。
 各党とも競うようにマニフェストに地方分権をうたったが、民主主義を広げ、深めていくには分権が決定的に大事だ。「地域主権者」である住民が主人公となり、歴史や伝統を踏まえた地域の力を結集してこその「地域主権」だろう。
 自治体が担当すべき仕事は何なのか、NGO、ボランティアが担うべきは何か。住民の自助努力に委ねた方がいいものは何か。そもそもどんな特色のある地域づくりをするのか。それぞれの「地域主権者」が主体的に決めるのがベストだ。
 千葉県市川市には、納税者が自ら支援したい市民団体を選び、市に納める住民税の1%を振り向ける制度がある。昨年度は約8300人が参加し、2千万円近くが福祉、街づくり、環境などの活動支援に回された。
 税の使い道を納税者自らが考え、地域にあった創意工夫を誘発する。こうした試みが、地域の活気を取り戻す糧になるのではないか。
■オールジャパンの底力
 参加型の政治は結局、日本が持つ人材の力、潜在力を結集することにつながっていく。国政、地方自治を問わず、多くの人材がさまざまな形で参加することで、オールジャパンの政治が厚みを増す。グローバル化の中で日本らしい発展の道を歩む上で、こうした強みを生かさない手はない。
 小さな政府か、大きな政府か。どの国でも議論が尽きないテーマだが、どんなサイズの政府であれ、参加度の低い「小さな民主主義」では力強い政策は生まれにくい。政策の効果も限られよう。多様な人材による多角的な論議に支えられた「大きな民主主義」を根付かせて初めて、日本を変えられる。

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09月08日(火)
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