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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 洞爺湖サミットが終わる
 首脳宣言は、「50年までに世界の排出量を少なくとも半減させるという目標についてのビジョンを、国連気候変動枠組み条約の締約国と共有し、採択することを求める」という内容だ。その際に「すべての主要経済国の貢献が必要」との見解を示している。
 「50年に半減」という数値を残し、かつ、米国が合意に加わったという点では、最悪の事態は免れた。
 しかし、文書の上でG8自身が「50年に半減」に合意したとは書かれていない。先進国自らが、どこまで自分たちの責任を果たそうとしているかも具体的に表明されていない。むしろ、主要経済国全体の参加が前提となっている。
 途上国の参加を促すためにも、先進国には世界全体の目標を超える削減が求められている。それを思うと、長期目標の合意に、京都議定書以降(ポスト京都)の削減を後押しするだけのインパクトがあるかどうか、首をかしげざるをえない。
 中期目標については、G8が野心的な国別総量目標を設定することが合意された。米国が設定に否定的だったことを考えると、この部分は前進である。しかし、ポスト京都の枠組みの中で法的拘束力を持たせた目標とするのかどうかは明確にされていない。中期目標の具体的数値も示されず、ここでも先進国の覚悟はみえにくい。
 ただ、G8が指摘するように、地球温暖化を食い止めるには、先進国だけの努力では不十分であることは事実だ。途上国を含め、すべての主要経済国が排出削減に取り組むことが必要であることは論をまたない。
 9日の主要経済国会合(MEM)では、長期目標や中期目標などについて、G8の合意をさらに一歩進める必要がある。日本には、先進国としての責任ある目標を示し、議論をリードすることが求められる。
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 G8合意、50年50%排出削減の微妙さ(7/9)
                      2008年7月9日  日経社説
 2050年までに温暖化ガスの排出を、世界全体で少なくとも半減させる。昨年の独ハイリゲンダム・サミットでは真剣な検討にとどまったこの長期目標を、今回の洞爺湖サミットで主要8カ国(G8)首脳は、世界共通の展望として、国連気候変動枠組み条約の数値目標として採択するよう求めた。

 議論をリードした議長の福田康夫首相は、「低炭素社会をめざす地球規模の国際共同行動の一歩」と、洞爺湖での前進を強調した。ただし、この長期目標はG8の合意ではなく、G8が世界に求める課題という文脈で書かれている。排出が急増している中国やインドなどに削減の枠組みへの参加を求める米国のブッシュ政権に配慮したものといえる。

 長期目標の設定に難色を示していた米国を巻き込んで、文書化にこぎ着けただけでも上出来というのが、首相の言い分だろう。しかし、40年も先の、法的拘束力のない長期目標の再確認を、前進と呼べるほど、温暖化を巡る状況は甘くない。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が世界の政策決定者に求めている科学的な要求水準は、2020年までに先進国の25―40%の排出削減や、今後10年から15年以内に、世界の排出量を減少に転じる早期のピークアウトである。

 今回のG8会合でも、温暖化対策の基本はIPCCの科学的予測にあると確認している。それなのに、20年をめどにした中期目標については、「野心的な国別総量目標」と、抽象的にしか示されていない。

 サミット最終日のきょう、中印など新興国も参加する主要経済国会議が開かれる。先進国に意欲的な中期目標の設定を求める新興国が、具体性のないG8の結論にどう反応するか。温暖化をめぐる国際交渉では、ここが最大の焦点となる。

 日本が提案していた目標設定のために分野ごとの削減可能量を積み上げる「積み上げ型セクターアプローチ」という言葉は、今回の宣言にはない。代わって、目標を達成する手段としてのセクターアプローチは有効と表現されている。削減目標はトップダウンで決め、達成はボトムアップでという原則に戻ったわけだ。


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07月09日(水)
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