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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 首相としての指導力
 民主党もやはり、期限切れにさせることが最大の目標だったのだろう。首相に一般財源化を決断させたのは道路特定財源の無駄遣いを次々と暴いた民主党など野党の功績であり、ねじれ国会の成果でもある。党内にも「一般財源化こそ本質」との声はある。だが、衆院選をにらんでガソリン値下げこそがアピールすると判断し、暫定税率の協議は一切受け付けなかった。
 実際、与党内にも衆院で再可決して税率を戻すためには相当の覚悟がいるとの声がある。野党側は再可決の場合、参院で首相に対する問責決議案を提出する構えでいる。
 少なくとも首相は一般財源化方針を自民党として決定する手続きを急ぎ、法案作りを進めるなど具体的な作業に入るべきだ。また、今後、環境税や炭素税に衣替えするとしても、なぜ、今の税率水準が必要か、どうしてそれが地球環境対策になるのか、きちんと説明しなくてはならない。それができなければ国民は再可決に納得しないだろう。
 それにしてもだ。空席が続く日銀総裁人事を含め、国会はなぜ、ここまで機能不全状況に陥ってしまったのか。
 間違いの始まりは昨秋の唐突な大連立構想だった。
 衆参のねじれを打開するには、政府・与党が謙虚に野党の理解を得る努力をしなければならない。だが、首相は大連立に安易に飛びつき、失敗した後も民主党の小沢一郎代表が何とか同党をまとめてくれると淡い期待を抱き続けた。
 小沢氏も大連立で党内の猛反対を受け、求心力を失った。両党首が会談しても局面を動かしようがないのが実態なのだ。
 もう一つの要因は、福田首相が衆院解散・総選挙をひたすら回避しているからである。表向きの対決姿勢とは裏腹に与野党に緊張感があるようには見えない。だれも責任を取らず、逆に責任のなすり合いに終始しているのは、「首相は解散できず、当分、衆院選はない」とたかをくくっているからであろう。
 今のような対立が続けば国民の痛みも伴う社会保障政策の改革などは先送りされるだけだろう。与野党が「大事なことは決められない国会」から抜け出せないのなら有権者が動かすほかない。衆院選でどちらの主張、政策が妥当なのか、有権者が判断するのだ。
 衆院解散・総選挙に対しては与野党通じて「選挙をしても今以上に混迷する」との見方がある。自民・公明両党は衆院で現勢力を確保するのは困難で再可決もできなくなる。一方の民主党も過半数を取れない可能性が高いというわけだ。
 ◇真の政権選択に
 しかし、そもそも今の与党の勢力は05年、小泉政権下の郵政解散によって得た議席だ。その後、安倍政権も福田政権も衆院選で国民の信を問うていないのだ。
 民主党が過半数を制し民主党政権となれば基本的に衆参のねじれは解消する。よって政権担当能力が一段と問われる選挙となる。
 一方、与党も過半数を取れば、選挙に勝利し、直近の民意の支持を得たことになる。野党は参院で審議のあり方を変えざるを得なくなるだろう。そうした位置づけの衆院選となる。
 もちろん、当面はガソリン税の暫定税率期限切れに伴う混乱をいかに最小限にとどめるかが先だ。7月の北海道洞爺湖サミットなど外交日程への配慮もあってしかるべきだ。
 各党とも選挙で問うべき肝心のマニフェスト作りも進んではいない。ガソリン問題だけでなく、年金や医療、教育、安全保障問題などテーマはたくさんある。各党がより具体的に公約を掲げるため、一定の準備期間も必要と考える。
 いずれにしても、次の衆院選は本格的な政権選択選挙となる。首相は解散から逃げないことだ。党や議員のためではない。国民のために政治を次のステップに進めるには、その決意が必要である。

04月02日(水)
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