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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■国会閉幕7・11参院選へ
国会での論戦が足りなかった分、選挙戦では活発な政策論争を強く望みたい。口蹄疫(こうていえき)の拡大で宮崎県などでは「今のままで選挙ができるのか」との声も出ている。内閣が万全の措置を講じるべきであるのは言うまでもない。
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社説:国会閉幕―「地域主権」はどうした
2010年6月17日(木)朝日新聞
通常国会が終わった。会期末まで、民主党の強引な運営ぶりが際だった。きのうは自民党などが提出した首相問責決議案の採決もしなかった。
与野党それぞれに理屈はあろうが、政権交代時代の新しい国会の姿を見せるには至らず、大きな宿題を残したことを銘記すべきである。
参院選に走り出す前に、成立しなかった法案に目を向けておこう。
温室効果ガス排出量の「25%削減」を明記した地球温暖化対策基本法案は廃案になった。製造業派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案は継続審議だ。「ネット選挙解禁」の公職選挙法改正案は提出すらされなかった。
政府提出の法案の成立率が過去最低に落ち込むなか、どうしたことかと目を疑うひとつが、地域主権改革関連3法案だ。参院で先に可決されたが、衆院で継続審議になった。
地域主権改革は政権交代の目玉政策だったはずだ。霞が関の各省と二人三脚で進んだ自民党政権の「地方分権」を、脱官僚依存の鳩山前政権は「地域主権」と呼び改め、旗を振った。
住民に近い自治体に権限も財源も移すため、各省の抵抗を打ち破る。こう宣言して、大阪府の橋下徹知事らを入れた地域主権戦略会議を司令塔に、改革の献立を練ってきた。
関連3法案は、そのほんの頭出しに過ぎない。自治体の仕事のやり方を法律で縛る「義務づけ」の廃止などは、ごく一部でしかない。それでも、自治にかかわる政策を企画段階から政府と地方代表が話し合う「国と地方の協議の場」法案などは評価できた。自治体側の長年の要望でもあり、地域主権改革の初めの一歩といえた。
自民党も公明党も「協議の場」には基本的に前向きだ。それを通さなかったのは、政府の自治体に対する背信行為だ。速やかな成立を求める。
同時に気になるのは、6月中に予定されていた政府の地域主権戦略大綱も先送りされそうなことだ。大綱は地域主権改革の全体像を描き、2、3年後を見すえた方針を示すものだ。
そこには、国と地方のあり方を根幹から見直す取り組みも多い。ひも付き補助金を廃止して省庁横断型の一括交付金にすることも一例だ。
さらに大綱では「国の出先機関の原則廃止」を確認し、工程を年内に策定する方針も書くはずだった。こうした各省との摩擦が大きい大綱の閣議決定が遅れれば、それだけ各省が巻き返す余地も生まれるのが気がかりだ。
首相交代に伴い「菅カラーを出したい」との考えもあるのかもしれない。だが、大綱づくりをしてきた地域主権戦略会議には、菅直人首相も仙谷由人官房長官も入っていた。理由を示さないままの大綱の先送りは解せない。今月内の閣議決定をめざすべきだ。
06月17日(木)
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