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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■鳩山首相辞任
 2日の両院議員総会でも首相は「私の不徳の致すところ」としながらも、「国民の皆さんが聞く耳を持たなくなってしまった」、「何としてでも(普天間の移設先は)沖縄県外に、と思ってきた。その思いをご理解いただければ」と語った。「思い」は正しかったと弁明したかったのだろうが、政治は結果責任だ。「アマチュア首相」の甘えやひ弱さを最後まで払しょくできなかった。
 小沢氏の責任も重い。政権がつまずく契機となったのは、鳩山首相も認めた通り、首相と小沢氏の「政治とカネ」の問題だった。特に小沢氏は一度も国会で説明していない。
 なぜ、ゼネコンから巨額の献金を受けてきたのか。小沢氏が「決別する」と訴えてきた古い自民党体質そのものではないか。私たちは小沢氏の政治家としての責任を指摘してきたが、民主党は決着をつけず、先送りしてきた。これが国民の政治不信を招き、政権の足かせとなってきたのは間違いない。
 もちろん、この8カ月余の鳩山政権は評価すべき点はいくつもある。事業仕分けでは税金の使い道に対する国民の見方を大きく変えた。日米安保条約改定や沖縄返還をめぐる日米密約が明らかになったのも政権交代の成果である。しかし、首相と小沢氏という政権のツートップの言動やスキャンダルが成果も帳消しにしてしまったということだ。
 私たちは昨年の総選挙での有権者の選択が間違っていたとは今も思わない。ただ、振り返ってみよう。昨年5月、小沢氏が代表を辞任した際、普天間をはじめとする安全保障政策などについて十分な党内論議もなく、短期間で代表選を行って、鳩山首相を代表に選び、小沢氏の影響力も温存された。そのツケが今、回ってきたのではなかろうか。
 ◇小沢氏の影響排除を
 子ども手当などの政策を実現するための財源をどう確保するか。今の深刻な借金財政をどうするか。党内に問題意識を持つ議員は少なくなかったが、「選挙の時に国民の負担増を打ち出すのは愚策だ」「政権交代すればいくらでも財源は出てくる」と財源を詰めなくなったのは06年、小沢氏が代表となってからだ。
 それを鳩山首相も引き継ぎ、昨年の衆院選でのマニフェストはバラマキ路線となった。政権発足後は、かつての自民党政権さながら、業界、団体重視の利益誘導型政治も目につくようになった。真っ先に取り組むべきだった政治主導に関する法案も放り出したような状況だ。官僚も使いこなしたとは到底いえず、内閣と党との関係も絶えず混乱していた。
 民主党は4日、代表選を告示し、同日中に両院議員総会を開いて直ちに新代表を決定するという。緊急事態との理由から後継選びは菅直人副総理兼財務相が軸となりそうだ。
 国政の停滞は無論許されないが、代表選びはどさくさ紛れで行うべきではない。代表選は、「鳩山・小沢」体制下であいまいにしてきた国の基本にかかわる安全保障や、消費税率引き上げも含む財政再建論議など、徹底的に詰めるいい機会となる。一定の時間をかけるよう再考を求める。そして何より、小沢氏の影響力を排除することだ。従来のような分かりにくい二重権力構造が続けば、国民は「民主党は変わった」とは見なさない。オープンな政治を改めて目指してほしい。
 本来は新首相のもとで早急に総選挙を実施し、政権の信を問い直すのが筋である。だが、参院選は予定通り7月11日に投開票となる見通しで、衆参同日選の可能性は低そうだ。いずれにしても民主党はマニフェストをきちんと見直し、有権者に示すのが最低限の責務だ。政権に対する評価は、新代表=新首相が誰になるかだけでなく、そこで下される。
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毎日新聞 2010年6月3日 2時32分


06月02日(水)
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