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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■異様な国家の異様な行動である
 韓国政府は問題を国連安全保障理事会に持ち込み、対北朝鮮制裁に結び付けたい意向だ。しかし北朝鮮の後ろ盾になっている中国は一貫して慎重姿勢をとってきた。現状のままでは制裁決議どころか議長声明での非難も難しいだろう。
 だが安保理以外にも制裁的措置をとる方法はある。以前に効果が証明された米国の金融制裁強化や「テロ支援国家指定」の復活、米韓合同軍事演習によるけん制などだ。
 46人もの犠牲を出した事件は到底容認できるものではない。核問題を扱う6カ国協議の進展が一時困難になろうとも、まず確固たる共同対処で北朝鮮の行動を変えさせる必要がある。それが核問題の解決にもつながるという展開が望ましい。
 そのためには結局、中国の協力が不可欠だ。選択肢の少ない日本も、こうした点で知恵を出したい。
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毎日新聞 2010年5月21日 2時32分
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社説:韓国艦撃沈―北朝鮮に断固たる外交を
                          2010年5月21日  朝日新聞
 46人もの兵士が犠牲になった韓国軍の哨戒艦の沈没は、北朝鮮製の魚雷によるものだった。そして、それは「北朝鮮の小型潜水艦艇からの発射以外に説明がつかない」。5カ国からなる合同調査団がきのう、そう発表した。
 戦争の引き金になりかねない撃沈だったということだ。日本を含む東アジア全体の安全をも大きく揺るがす許しがたい暴挙である。
 動機は不明だ。金正日総書記への忠誠心競争が暴走した結果なのか。軍の威信を高め、後継体制づくりに利用しようとしたのか。昨秋、北朝鮮艦艇が海上の事実上の境界を南に下って韓国軍に撃退されたが、その報復との見方もある。いずれにしても異様な国家の異様な行動である。
 北朝鮮は報告書を「でっち上げだ」としている。だが、1968年には韓国大統領府への襲撃を図った。83年にビルマ(現ミャンマー)訪問の大統領一行を狙ったラングーン爆弾テロ、87年の大韓航空機爆破と、韓国に対してテロを繰り返してきたが、北朝鮮は関与を認めていない。
 冒険主義に走ることをいとわない危うい体制であることが改めて如実に示された。
 しかし、この攻撃は北朝鮮自身にとっても無謀の度が過ぎたのではないか。経済の窮状は深刻化し、金総書記は健康不安を抱えている。国の先行きはますます不透明になっている。
 また、決定的とも言える証拠が出たことで、これまでそれぞれの思惑から事態を大きく動かすことに慎重だった周辺国も態度を変える可能性がある。
 韓国の国民の憤りは激しい。李明博大統領は「断固たる対応措置をとる」と語った。国連安全保障理事会での制裁を呼びかける方針だという。
 北朝鮮にこれ以上の暴挙を重ねさせてはならない。同時に朝鮮半島の緊張をいたずらに高めない。これは日本を含め地域全体で取り組むべき課題だ。
 まず、米中の役割が大きい。ことに中国が重要な役割を担わねばならない。さきの金総書記の訪中では、経済支援などで中朝間に溝があったともいう。北朝鮮の言動を中国が不快に思っているからでもあろう。中国には、経済面での強い影響力を生かし、北朝鮮の挑発的な行動を抑え、外交の場に引き出す努力を続けてもらいたい。
 鳩山由紀夫首相は「韓国、米国をはじめ関係各国と緊密に連携・協力していく」と述べた。きょうクリントン米国務長官が来日して鳩山首相らと会談する。長官は中韓も歴訪する。月末には日中韓の首脳会議も開かれる。
 北朝鮮は東アジアで最大の不安定要因であり、この事件はすぐれて日本の問題でもある。米国、韓国との深い関係を生かし、中国に働きかけを強める。外交努力が待ったなしだ。

05月22日(土)
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