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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ギリシャ財政破綻の第3のモデルになるか
 ユーロ圏議長のユンケル・ルクセンブルク首相は、2日の会見で「私もしびれを切らしかけたが、文化や、手続きの違いがある」と、地方選を控えたドイツなどの国内手続きに配慮したとの考えを示す。
 ◇各国市場「調整局面に」
 日経平均株価が6日、前週末比361円安と今年最大の下げ幅となり、世界同時株安の様相を見せ、アジア各国の市場からは「もはやギリシャ一国の問題ではなく、事態収拾のめどが立たない」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏)との悲鳴が上がった。企業業績の回復を受け、楽観ムードが漂っていた株式市場では「調整局面に入った」(アナリスト)との見方が強まっている。
 ギリシャより経済規模が大きいスペインなどに危機が波及すれば、「ユーロがさらに下落し、ユーロ危機の可能性が高まる」(三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏)。
 日米の企業にとっても、「新興国市場で不利に働く」(矢嶋氏)ことから、業績の押し下げ要因となる。このため、欧州の危機が、世界経済の後退につながる恐れも指摘されている。
 金融市場の不安心理の高まりから、欧州域内では、ギリシャやポルトガルの国債が売られ、価格が下落(利回りは上昇)する一方で、ドイツ国債の価格が上昇するなど、安全資産を購入する「質への逃避」の動きが強まっている。
 欧州域外でも株から国債に資金が流れた。6日の東京債券市場では長期金利の指標となる新発10年債の利回りが一時1.25%に低下。5日の米国市場でも一時3.5%を割り込み、それぞれ約4カ月半ぶりの水準に低下。6日の市場でも欧米の株式市場が下落する一方で、国債が買われる展開が目立っている。さらに金の価格も一時、上昇するなど、投資家がリスクを回避する動きは今後も続きそうだ。
 市場では、「大幅株安の要因は従来の楽観ムードが修正されたため。日米の経済指標は改善し、新興国経済も好調」(みずほ証券の瀬川剛氏)との楽観的な見方もあるが、「財政赤字が大きい米英に危機が波及するのが最悪のシナリオ」(アナリスト)との強い警戒の声もぬぐえない。

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05月08日(土)
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