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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■トヨタ車不具合、世界で700万台:安全の感度が鈍ったか
北米や欧州の主力車種でアクセル関係の重要部品に絡む問題が続発し、リコールによる回収・無償修理だけでなく、生産・販売の一時中止という事態にまで発展した。トヨタ車全体の品質や安全に対する顧客の信頼感にも影が差し始めている。
事の発端は、昨年8月に米カリフォルニア州で起きた高級車レクサスの暴走事故だった。運転席のアクセルペダルがフロアマットに引っかかり、足を離してもペダルが戻らなくなったのが原因だったが、トヨタは「車自体に欠陥はない」という立場に固執した。世論の批判に押し切られる形で11月になって426万台をリコールすると決めたが、「安全への感度」が鈍っていると疑わせる対応だった。
今度は、同じアクセルペダルの部品がすり減って戻らなくなる危険性が判明した。米国で230万台のリコールは、共通の部品を使う欧州と中国にも波及。対象車種の北米5工場での生産と販売を中止することにした。
さらに、昨年と同様のトラブルが指摘された109万台の追加リコールを決めた。こうもリコールが続くと長年の努力で培ってきたブランドイメージも痛手をこうむる。
経済危機で利益が吹っ飛び、「成長」に急ブレーキがかかったのは外部要因だが、安全の問題は経営に責任があると考えざるをえない。
ひとつはトヨタ自身の急速なグローバル化のひずみだ。問題の部品は米国メーカーから調達しているが、設計や品質管理の指導が甘かったとみられる。多くの車種で部品を共通化した結果、問題が起きるとリコール対象が爆発的に増えるようになった。
トラブルへの対応ぶりからは、米ゼネラル・モーターズを抜いて世界の頂点に立つ過程で頭をもたげた自信過剰と気のゆるみもうかがえる。問題がグローバル化しているのに、日本などの顧客への実態説明や不安解消の手だても十分とは言えない。
米国での市場調査では、品質面で韓国の現代自動車が日本勢を上回る結果が出始めている。日本勢はハイブリッド車や電気自動車など次世代技術の実用化や開発では優位にあるが、競争は熾烈(しれつ)で安閑としてはいられない。しかも、次世代カーが普及すればするほど、安全や品質による選別と淘汰(とうた)の時代がやってくるに違いない。
21世紀の世界は、市場構造の激変と技術革新が同時進行する波乱の連続だろう。その中で自動車に限らず、日本のすべての産業で安全と品質への感度が競争力の生命線になる。そのことを確かめ直す必要がある。
01月31日(日)
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