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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■この予算をどう受け止めるか
 今回の予算編成はなんとかクリアできたものの、来年以降、同じ手に期待することには無理がある。しかも、来年度予算に組み入れた子ども手当は、公約に掲げた額の半分程度だ。満額にするにはさらに財源が必要になる。マニフェスト関連の出費が11年度以降さらに増大する一方、埋蔵金に頼り続けられないとなると、今後のやりくりは一層、困難を極めよう。
 借金が膨らんだ分、その利払いも不安要因だ。政府は年2%の金利を想定しているが、国債の大量発行を受け投資家が将来に不安を募らせたら、金利は想定を上回りかねない。0.1ポイントの上昇で約1700億円の負担増になるという。
 政府は11年度以降の予算をどのように安定的に組み立てていくのか早急に作戦を練る必要がある。同時に、財政健全化に向けて、市場が納得するような具体的な中長期計画を一刻も早く提示しなければならない。時間との競争だ。
 ◇消費税上げの前に
 来年度予算案のもう一つの大きな欠陥点は、経済を活性化したり強くしたりするための方策が見えないことだ。子育てや高齢者、地方財政を支援する対策はふんだんに盛り込まれているものの、どのようにして国の経済が今後伸びていくのかをうかがわせる将来像が実感できない。
 財源面の制約や費用対効果を考えると、政府の資金で直接、特定の産業を育てる発想は非現実的だ。経済のグローバル化も意識した、戦略的な規制改革とセットで対策を打ち出す必要があろう。
 持続性が危ぶまれる予算になった背景には、中長期的な戦略をしっかり描くことなく編成に着手したことがある。大きな目標や政策の優先順位が閣僚や副大臣らに共有されていなかったため迷走を招いた。これは、国家戦略室が機能しなかったことが原因といっていい。
 安定的な財源を確保するため、消費税の引き上げを早急に検討すべきだとの声も今後高まるだろう。確かに真剣な議論を始める時に来ているのは間違いない。しかし、まずは、政府が税金を本当に無駄なく使い、将来世代のためにきちんとした計画を立て、それを実行に移す能力があることを示すのが条件だ。この政権に託せば国がよい方向に向かうだろう、といった国民の信頼なしに、増税を急いでも支持されまい。
 初の事業仕分けは、税金の使われ方に国民の広い関心を引き寄せた画期的な試みだった。とはいえ、あの程度で、無駄を根絶したとはとてもいえないはずだ。信頼を得るための道はまだ半ばである。
 今回の予算初編成を通して政権が何を学んだかが肝心だ。来年の予算編成からは、「政権交代したばかりだから」の言い訳は通用しない。
 鳩山政権は戦略室の機能を強化し、直ちに戦略作りに着手すべきだ。
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社説 無駄排除は掛け声倒れの鳩山予算案
                   2009年12月26日   日経
        
 鳩山内閣は9月の発足後、初めて編成した2010年度予算案を閣議決定した。一般会計規模は92兆3千億円、政策実行のための一般歳出は53兆5千億円といずれも過去最大となる。税収が37兆4千億円と著しく低迷し、国債の新規発行額も最大の44兆3千億円に膨れあがる。

 デフレが進み、景気の先行きに不安が残る中で、ある程度の予算規模の確保はやむを得ない。家計を支える子ども手当などの給付策も一定の効果は期待できる。だが、今回の予算案からは日本経済を確たる成長に導き、中長期で財政を安定させる道筋が見えてこない。

成長への道筋に疑問

 民主党政権は「コンクリートから人へ」を掲げ、福祉の充実に力を注いだ。衆院選で公約した子ども手当や診療報酬の増額などで社会保障関係費は27兆3千億円と前年度の当初予算より約10%増え、一般歳出の5割を超す。一方で公共事業関係費は約18%減の5兆8千億円に縮小した。

 民主党政権に求められたのは、長年の自民党支配で既得権に凝り固まった予算を根本から組み替え、経済の活力を高める配分を実現することだった。福祉重視への転換はその一端を示したとはいえるが、経済成長を力強く支える内容とは言い難い。


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12月26日(土)
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