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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■政府はデフレにどう対処する。
 給与や賞与が減り、職が失われるかもしれない。そんな不安から、家計の財布のヒモは固くなっている。物価下落下では企業の売り上げは伸びず、生産や投資が萎縮する。

 物価変動をそのまま映す名目国内総生産(GDP)は、09年7〜9月期まで6四半期連続で減少した。年換算額の480兆円は1992年以来の低水準だ。日本経済はこのままでは失われた20年になりかねない。

 問題は政府の危機認識である。鳩山由紀夫政権は、まとまった経済政策が不在である。デフレの問題に正面から取り組んでいない。

 日銀も金融は十分に緩和的だとして、追加的な対応には消極的である。行動できないことを理路整然と説明するだけでは、デフレの解消はおぼつかない。新興国はいわずもがな、米欧に比べてさえ元気のない日本の株式は、先行きの展望が見えない閉塞(へいそく)感を物語る。

 今の日本経済はふらつくクルマのようなものだ。政府・日銀がぬかるみへの転落回避の努力を怠っているうちに実際に落っこちてしまえば、クルマを引っ張り出すのに要する労力は落ちる前の比ではない。

 物価が下落するなか景気が二番底に陥ると、企業や家計の中長期的な期待成長率や期待インフレ率を押し下げかねない。企業や家計にとって必要な策を直ちに実施すべきだ。

 まず、財政。経済効果の高い需要創出策を急ぐ必要がある。

 鳩山政権は麻生太郎政権が打ち出した09年度の補正予算を2兆9000億円執行停止する。ムダを省くのは良いとして、補正の執行停止で09年度の実質GDPが0.2%押し下げられると、菅副総理も認める。

 10年の前半には再びマイナス成長に陥るリスクがあることは、政府・日銀とも承知している。10年度予算と並行して09年度の第2次補正予算を組み、景気を下支えするという。ただすでに財政は悪化している。

 政府の債務の残高は今や名目GDPの1.8倍。財政規律が失われたとみれば長期金利が上昇するリスクがあるだけに、本予算の恒常的な経費を抑える配慮は要る。一方で、景気対策としての2次補正は即効性と柔軟性が欠かせない。公共投資についても下水道の整備など、いずれ必要となる生活基盤を充実させるなら排除すべきではあるまい。

 次に、金融政策。日銀は20日、景気判断を上方修正したが、経済の足取りが確かでないことは否定できないだろう。政策金利は低いとはいえ、景気悪化が深刻になるようなら一段の緩和も考慮すべきだろう。

 新しく導入される国際的な自己資本比率規制では邦銀の資本不足が指摘されている。銀行が増資に走り、企業は今後の貸し渋りへの懸念を募らせている。3月決算期末を控え、必要性が出てくれば企業金融支援を再検討する余地はある。

成長のメッセージこそ

 デフレは物価変動を考慮した実質金利を高止まりさせ、円相場を経済の実力以上に高くする傾向にある。財政面での景気てこ入れは、長期金利の上昇を通じた意図せぬ円高という副作用を招く恐れもある。

 政府・日銀が経済政策の運営で認識を共有できるなら、国債の買い入れ増額なども検討の余地があるだろう。経済財政諮問会議を廃止して以降、政府と日銀のトップが定例の話し合いの場を持っていない。そんな現状を一刻も早く改めるべきだ。

 こうした当面の策もさることながら、経済構造の根っこにある問題も見逃せない。基調としては10年ほど前から、物価が下落ないしほぼ横ばいの局面が続いている。背景には、中国など新興国の台頭で日本の賃金や価格がこれらの諸国にさや寄せしたり、多くの産業が需要の飽和に直面していることが挙げられる。

 それだけに、潜在的な需要の大きい医療、教育、保育などの分野の規制を一段と緩和することが大切だ。企業経営を後押しするためには、法人税負担の軽減も重要。貿易自由化交渉に弾みをつけることで、海外の需要を取り込むことも欠かせない。

 世界でデフレのワナから抜け出せないのは日本だけ。経済の閉塞感を打破する政府のメッセージが何より大切だ。

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4、「日銀はデフレと戦え」 OECD事務総長が会見

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11月23日(月)
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