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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ノーベル平和賞―オバマ大統領に

 大統領は今回の受賞を「行動への要求」と受け止めた。米国とオバマ氏自身の今後の貢献への期待を込めた平和賞である。これを機に、核軍縮をはじめ国際社会の懸案解決に、一段と指導力を発揮してほしい。

 オバマ大統領は、単独行動の目立ったブッシュ前政権下では考えられなかった新機軸を打ち出した。特に「核兵器なき世界」を唱えた4月のプラハ演説は、国際社会に新風を吹き込んだ。「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」。率直な発言は、唯一の被爆国として核廃絶を目指す日本でも共感を呼んだ。

 先月には、核不拡散・核軍縮に関する国連安全保障理事会の首脳級会合を主宰し、「核兵器なき世界」を目指す決議を採択させた。ロシアとは7月の首脳会談で、12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)で定めた戦略核弾頭の保有上限を約3分の1に減らす、核軍縮条約の年内締結で合意した。

 真価を問われるのはこれからだ。北朝鮮やイランの核開発など、実際の核拡散は強まっている。こうした現実の脅威をどう抑えるかは、日本にとっても切実な課題である。

 世界的な核管理体制には既存の核保有国に有利な面もある。米議会はいまだ包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していない。ロシアや中国とともに、米国が率先して核軍縮の実を上げる必要がある。

 地球環境問題では、中国と並ぶ温暖化ガス排出国である米国の対応にはまだまだ課題が残る。オバマ氏が唱える温暖化ガス削減案は、鳩山由紀夫首相の提案に比べてなお小幅である。医療改革を巡る議会との対立で、地球温暖化対策法案が年内に上院を通過する公算は極めて小さい。内向きになっている米議会をどう説得するかが、大きな課題である。

 オバマ氏が外交の柱に掲げ米軍を増派したアフガニスタンも安定化にはほど遠い。オバマ政権が発足してからまだ1年に満たない。今回の受賞は多くの宿題を抱えたオバマ氏が、真の実績を上げるために背中を押したものと受け止めるべきだ。

 大統領は11月に来日する。「核なき世界」を日米主導で実現するためにも広島や長崎を訪ねてほしい。








10月13日(火)
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