ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[257883hit]

■オバマ大統領就任各紙の論説を読む
 公約したイラクからの米軍撤退を軌道に乗せ、戦争の収束に誠実に取り組むことがイスラム世界の対米不信を解く第一歩だ。イスラム世界もこの絶好の機会を真剣にとらえて、対話に踏み出してほしい。
 ブッシュ政権が敵視してきた独裁政権などにも、手をさしのべる用意があると表明した。北朝鮮やイラン、キューバなどが念頭にあるのだろう。
 「握りしめたこぶしを開くなら」という条件がついた。核開発やテロ支援をはじめ、国際社会のルールを無視し、地域の緊張をいたずらに高めるような姿勢を変えよということだ。もっともな立場だし、「悪の枢軸」呼ばわりして無用な緊張をあおるより、はるかに賢明な外交である。
 オバマ氏は、途上国の貧しい人たちにも呼びかけた。日本などの先進国には、貧困や環境・資源問題にともに取り組もうと語った。
 目新しい主張ではないけれど、ブッシュ時代には欠けていた他者への共感と謙虚さを感じさせた。国際協調主義への明確な転換である。
 「世界が変わったのだから、米国も変わらなければならない」。この難題をどう実行して見せるか、世界は期待しつつ注視している。
―――――――――――――――――――――――――――――――

3、社説:オバマ米大統領就任 世界変える旅が始まった
                     2009年1月22日  毎日新聞
 新しい時代が始まった。これまでも大統領が交代するたびに、再出発の意識を米国人は受け継いできた。だが、今年の大統領就任式はもっと本質的な変化を世界に告げている。就任の前と後では時代の精神が切り替わった。歴史の次の扉が開かれたという刷新の感覚を米国人も私たちも共有している。
 バラク・オバマ氏が20日、第44代米大統領に就任した。首都ワシントンの式典には史上最多の200万人が集まった。18分間の就任演説を、世界中がテレビやインターネットで同時に聞いた。
 ある政治家のメッセージが、これほど多くの人に期待され、一斉にしかも詳細に世界に広がった例はないだろう。自国の政治指導者より、オバマ大統領の決定がはるかに自分の生活を左右する。そう感じる人々が各国にいる。米国一国だけの指導者ではない。グローバル大統領の登場だ。
 ◇グローバル大統領
 米国で初の黒人大統領であり、初のマルチレイシャル(多人種)大統領でもある。公民権運動により、制度としての人種差別がなくなってから50年もたたない。人々の意識が変わるにはさらに時間がかかった。
 米国のシステムから長く排除されてきた黒人が白人の支持も集めた上で、選挙により最高の地位を得た。黒人奴隷が強制労働で建てたホワイトハウスに、奴隷の子孫であるミシェル夫人や子供たちとともに住む。一家がこの国のモデルとなる。歴史を書き換えた意味の大きさを強調したい。
 最強国の指導者としての黒人をこれから毎日、米国と世界の子供たちが見るだろう。人種や家柄で差別しない意識変革が世界に広がる契機になればいい。
 経済と戦争の二重の危機を引き継ぎ、どん底状態からの出発だ。就任演説がブッシュ時代からの決別宣言であり、オバマ時代の希望宣言となったのも当然だ。
 経済では「我々は困難な選択を行わなかった」「豊かな者のみを優遇する国は長く繁栄しない」と語った。失敗を繰り返さない決意と自省のことばを世界は待っていた。米国が不況から脱出できなければ、各国の不景気も続くと世界が不安になっている。だが金融や自動車の経営悪化に出口は見えないし、米経済がいつ好転するかもわからない。
 オバマ政権は8000億ドルを超える経済対策法案の早期可決を発足前から議会に求めている。ホワイトハウスと議会は対策の実行を急がなければならない。次のG20首脳会議(金融サミット)が開かれる4月までに、危機収拾の見通しを明確に示してほしい。
 外交・安全保障では、軍事力だけに頼らず、「大義の正しさ、他国の手本となる振る舞い、謙虚さや自制心が安全保障を生み出す」と述べた。ブッシュ政権の軍事力一辺倒路線から距離を置き、ソフトパワーを重視した考えだろう。

[5]続きを読む

01月23日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る