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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ インド同時多発テロ (1)
 その意味では米国の「インド重視」政策は問題なしとしない。インドを「世界最大の民主主義国家」と呼ぶブッシュ政権は、米印原子力協定を結び、これを原子力供給国グループ(NSG)に追認させた。NPT非加盟のインドとの核ビジネスを例外的に認める措置を、日本も承認したのである。
 だが、米国が「印パ等距離外交」からインドに軸足を移すにつれて、パキスタンとの関係が冷え込み、アフガン情勢の悪化にもつながる傾向は否定できない。インド安定のためにも、米国は「テロとどう戦うか」という問題を関係国と謙虚に問い直す必要がある。
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4、社説1 9・11連想させるインド商都へのテロ(11/28)
                          2008年11月28日  日経
 インド西部のムンバイで大規模な同時多発テロ事件が発生し、日本人男性1人を含む多くの市民の命が奪われた。背景にいかなる政治的理由があろうと、無差別テロは決して許される行為ではない。犠牲者に深い哀悼の意を表すとともに、事件を起こした武装集団の卑劣かつ残忍な行為を厳しく糾弾する。

 武装集団による攻撃の標的となったムンバイは、インド最大の商業都市である。中心部の複数の高級ホテルや鉄道駅などが次々とテロ攻撃を受け、銃の乱射や手りゅう弾などで400人以上が死傷した。

 麻生太郎首相が「強い憤りを覚えるとともに断固として非難する」と表明したのは当然だ。米英政府もテロ攻撃を強く非難した。日本の外務省は邦人の安全確保や情報収集に全力を尽くしてほしい。

 事件発生後に「デカン・ムジャヒディン(イスラム聖戦士)」を名乗る組織が犯行声明を出し、地元テレビに「(拘束中の)イスラム聖戦士の全員釈放」を要求したことから、イスラム過激派による犯行との観測が強まっている。インドのシン首相も「国外に拠点を置く組織が商都に大損害を与えようと決意してやってきた」との見方を示した。

 ヒンズー教徒が主流のインドではイスラム教徒が職業など待遇面で冷遇されることが多く、根深い宗教対立が事件の背景にあるとの指摘が出ている。ムンバイは人口に占めるイスラム教徒の比率が高い。

 インド経済の中枢を狙った組織的な連続テロは、2001年9月11日に米国で発生した同時テロを連想させる。武装集団が米国人や英国人を集中的に人質に取ろうとしていたとの証言もあり、国際テロ組織のアルカイダが関与している可能性も否定できない。テロの続発を防ぐためにも、インド政府は武装集団の実態解明を急ぐ必要がある。

 同時テロがインド経済に与える打撃も懸念される。ムンバイには中央銀行のインド準備銀行や2大証券取引所があり、金融や商業の中心地である。外国企業も数多く進出しており、日本企業も約100社が現地に拠点を構えている。

 金融危機の波及で世界同時不況の様相が強まるなか、今年7%台の経済成長が見込まれる新興国インドには、世界経済のけん引役としての期待もかかる。インドも経済の減速が避けられないが、治安リスクが外資進出の障害となり、一層の経済失速を招きかねないのは気掛かりだ。インド政府は事件の徹底究明とともに治安対策の強化を急いでほしい。

11月28日(金)
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