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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 教育現場に飛び交う札束…大阪でも、医学部でも、政治介入も
 さて、全国の教員はこの事件をどんな思いで見ているのか。もちろん、憤慨している人が大半だろうが、ひょっとしたら苦い記憶を呼び覚まされている人もいるかもしれない。
 文部科学省は、全国の都道府県の教育委員会に対し教員採用についての実態調査を指示した。今回の事件が大分県だけの特殊な事情にもとづくものだとは思えないということだろう。
 実際、今回のように大胆で露骨な例は珍しいにしても、教員採用をめぐる口利き話はそこかしこで聞く。コネがなければ教員になりにくい、といった話も少なくない。
 さらに新たな問題も出てきた。採用の合否が受験者本人に伝えられる前に、国会議員の秘書や県議らに漏らされていたという。本紙の調査によると、そんな便宜を図っていた都道府県・政令指定都市の教育委員会は、全国で20を超える。
 合否の決まった後のことだ。採用を求めて口利きするのとは違う。だから目くじらをたてなくてもいいのではないかという考え方はいけない。
 議員や地域の有力者らにだけ特別に知らせるのは、どう考えても公正ではない。そうした便宜供与が口利きを許すことにつながり、それが今回のような事件に発展したのではないか。
 では、どうすべきか。
 まず、各教育委員会は実態調査を機に、不正がないかどうか徹底的に検証してほしい。今回の事件でも教育委員会の中枢が不正に手を染めていたのだから、おざなりの調査で実態を突き止められるとはとても思えない。
 何よりも大切なことは、不正が入り込まないような採用制度をつくることだ。試験問題と解答を公表し、試験の成績を受験者に通知する。試験の採点や合否判定には、県人事委員会や第三者機関などを関与させる。それらは最低限、必要なことだ。
 同時に、口利きや特定の人たちへの便宜供与を一掃しなければならない。このほど教委の全国総会で事前通知をやめることで合意したというが、総会にはかるまでもないことだ。例えば鳥取県のように、口利きなどをしてきた場合はその名前や依頼の内容を公表するような制度を設けたらどうか。
 繰り返される教員採用汚職。公立学校不信を増幅させる罪は限りなく重い。今度こそ教員の採用や人事にからむ不正や悪弊を根絶やしにすべきだ
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社説:教員採用改革 もう先送りにはできない
                     2008年7月21日  毎日新聞
 大分県教員採用汚職はここだけの例外的事件か。そう考える人はほとんどいないだろう。毎日新聞が47都道府県と17政令市教育委員会にアンケート調査したところ、半分近くは受験生本人に得点を開示せず、大半の自治体が第三者チェックの仕組みを持っていない。
 また、多くの自治体で合否結果を県議ら「有力者」の求めに応じて事前に知らせている実態が明るみに出た。大分県の教育長も昨年、複数の県議らの要請で発表直前に通知したことを認めている。この際、毎日新聞の取材に文部科学省の担当課は「同様の事例は聞いたことがない」と評したが、不可解だ。では、これまで入れ代わり立ち代わり全国の教育委員会に出向してきたキャリア官僚たちは何を見聞きしていたのか。
 教育振興基本計画は「教員は、子どもたちの心身の発達にかかわり、その人格形成に大きな影響を与える存在であり、その資質・能力を絶えず向上させる」ため研修などの充実をうたうが、それ以前の入り口=採用制度の公正確保には言及しない。「地方が自律的に取り組むべきで、国が上から介入すべきことではない」というのが文科省の基本的な考え方だ。しかし、実態を直視し、改善策に知恵を絞り、提起するのは全く別の問題である。
 互いに「先生」と呼び合う内輪世界で、コネと金品を動力源に採用や昇進人事が行われていたのが事件の構図だ。程度や規模の差はあれ、こうした土壌は大分のみならず他の地域でも多く指摘されてきた。
 そして、改ざんなど恣意(しい)的な操作が行われたら十分なチェックができるか、多くの自治体が心もとない体制であることも毎日新聞の調査で明らかだ。大分では10年保管と規定されている採用試験答案用紙などもあっさり廃棄されていた。

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07月21日(月)
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