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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 山口2区補選自民敗北は当然の流れ
 「この怒りを国に思い知らせたい」。自民、民主両党の総力戦となった27日の衆院山口2区補選で、民主前職の平岡秀夫さん(54)を当選させたのは、今月始まった後期高齢者(長寿)医療制度への反発だった。75歳以上をひとくくりにし「後期」という名の別枠にする制度に、お年寄りたちが「ノー」を突き付けた。暮らしの現場から上がった切実な声は政治に届くのか。
 ◇後期高齢者医療
 山口2区の有権者の約4割が集中する岩国市。中山間地に小さな集落が点在する同市錦町広東地区は、高齢化が進み、住民約250人のうち65歳以上が3分の1を占める。
 「入った年金がそのまま消えていく生活。微々たる残りは葬式代として蓄えないといけん」。5年前に夫に先立たれ1人暮らしの女性(78)は医療制度の見直しを求め、迷わず平岡さんに投票した。
 4月上旬、社会保険庁から届いた「年金振込通知書」に驚いた。「介護保険料4300円」と書かれた下に「後期高齢者医療保険料2300円」とあり「金額をこの時初めて知った」と憤った。
 隔月で支給される年金は約11万円。そこから二つの保険料を差し引くと生活費は月額にして5万円。さらに光熱費や食費などを引けば手元には1万9000円あまり。足腰の痛みがあるため月2〜3回の病院通いは欠かせず、数千円の医療費もいるという。「夫が家を残してくれなければ首をくくっていた」
 東京でも高齢者から「選挙結果を尊重して」と声が上がる。
 「年寄りの医療制度はどんどん過酷になってきた。自民候補が負けたのは、長寿医療制度がいじめの制度だということを見抜かれたからだ」
 糖尿病治療を続ける東京都大田区の元会社員、大山正夫さん(80)は06年秋、生命保険会社の残りの個人年金を一括で約400万円受け取った。分割のほうが総額は多いが、そうすると厚生年金と合わせた夫婦の年収がこの年の医療制度改革の新基準を上回り、1割だった医療費の窓口負担が3割になってしまうからだ。
 そこに後期高齢者医療制度が追い打ちをかける。大田区で年金からの保険料天引きが始まるのは10月から。保険料額も未定だが負担が増えるのは確実だ。大山さん自身、糖尿病の治療で1日4回インスリン注射を打たなければならない。「与党は新制度を撤回して」と訴えた。【鈴木美穂、野倉恵】
 ◇ガソリン税
 自民候補は敗れたが、与党は投開票に先立ってガソリン税の暫定税率復活を決めている。
 「いったい、なんのための選挙なのか」。東京都足立区でガソリンスタンド(GS)を営む吉村美知明(みちあき)さん(42)は、ガソリンの暫定税率を復活させる租税特別措置法改正案の衆院再可決を見込み、既に値上げの準備を強いられている。
 値下げ直前の3月下旬、元売りに促され8万リットルのタンクを満杯にした。暫定税率がかかっている分も4月1日から値下げしたため、80万円の差損をかぶった。レギュラー1リットル当たり20円下げたが、近くのセルフ式スタンドはもっと安く、4月の販売量は例年の7割に落ち込みそうだ。やっとの思いで値下げしてからまだ1カ月。「今の政治はふざけているとしか言いようがない」
 横浜市鶴見区の首都高パーキングエリア。27日、仕事を終えて戻る途中の山梨県甲州市、石材業、上野勲さん(63)は、民主勝利を聞き、「そろそろ民主に政権を取らせてもいいかな」と話した。
 7台のトラックを仕事に使う。26日夜、市内のGS経営者から電話をもらった。「値上がりは確実だから、早く入れた方がいいよ」。軽油をポリタンクで400リットルほど買いだめする予定だ。「それでも、浮くのはおかず代くらい」。長年続けてきた自民への支持に迷いが生まれている。【井上英介、林哲平】
 ◇説明に納得できず−−山口県岩国市出身の漫画家、弘兼憲史さんの話
 平岡さんは顔や人柄も知られていて、知名度不足の山本さんとはキャラクターの差があった。それにしてもこの結果は、国民が政府の説明に納得していないことの表れ。医療費がまるっきりタダでいいとはみんな思っていないが、年金からの天引きがお年寄りからむしり取るように受けとめられた。政策が100%悪いとは思わないが、総選挙に向け(政府は)見直しを迫られるだろう。

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04月29日(火)
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