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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 首相としての指導力
 首相は道路特定財源問題で今年度予算は暫定税率を含む政府・与党案でいくが、来年度は民主党のいう全額一般財源化すると提案した。暫定税率についても、財政状況や環境問題などへの対応も含め今秋の税制抜本改革の中で論議するよう与野党協議を求めた。
 ガソリン価格の乱高下や歳入不足を回避し改革理念を実現するには、これ以外の現実的選択肢はなかった。民主党は歳入不足のまともな対応策も示さず暫定税率廃止にこだわった。政府・与党の再議決による再値上げという混乱拡大を狙ったとしか考えられない。
 日銀総裁人事もしかりだ。財務省出身の武藤敏郎前副総裁の昇格などを拒否したのは、「財金分離」に反し日銀の独立性が侵されるとの理由だった。だが、先進各国では財務省経験者の中央銀行総裁は山ほどいる。
 中央銀行の独立性ももともと政治からのそれを意味する。自らの政治介入で独立性を奪った矛盾に気付かないような政治の劣化が続くと、日本経済は間違いなく世界の流れから取り残されよう。
 ≪議員は傍観者になるな≫
 国政の混乱の主たる責任は、二大政党のトップである福田首相と小沢代表に帰するとしても、衆参両院で722人に上る国会議員は、この半年あまり、一体何をしてきたのか。
 とくに民主党は参院での数の力を背景に、定例日以外の審議は拒否するという日程闘争によって政治空白を生み出す姿勢を顕著にした。参院で衆院から送付された歳入関連法案を1カ月以上も放置したことには、同じ野党の共産党が異論を唱えたほどである。
 この政局至上主義からの転換を民主党内で求める動きはほとんどない。小沢代表と距離を置く勢力からも、強い異論は出てこない。国政の危機を目の当たりにしながら、傍観者のような振る舞いでよいのか。
 民主党の出方を見極める難しさはあったとしても、政策遂行が相次いで行き詰まりをみせたのは、与党の対応のまずさや出遅れによる。野党の賛同が見込まれない法案や人事案件を取り扱う場合、ねじれ現象に陥る以前の発想から抜け切れていないのではないか。
 首相は小沢代表に党首会談を呼びかけても「門前払い」されているという。政策遂行に必要なら、今後もことあるごとに申し入れるべきだ。それでも相手が拒否するなら、国政上の責任を放棄したとみなすしかあるまい。
 19年度中の国会承認が必要だった在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を延長する新特別協定も、承認の遅れにより、空白が生じる。インド洋上での海上自衛隊の補給活動の中断と同じく、日米同盟の信頼性が傷付く事態が繰り返される。
 もとより、政策協議や修正合意を経た政策の実現が望ましい。それが無理な場合、憲法に明記された衆院再議決を躊躇(ちゅうちょ)しないことが、政権を担う自民、公明両党の責任ある対応である。首相の指導力と説明責任が求められる。
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社説:ねじれ国会 有権者が動かすほかない
2008年4月1日 毎日新聞社説
 混乱の4月が始まった。ガソリン税の暫定税率は結局、期限切れを迎えた。1月末、衆参両院議長のあっせんにより、与野党が年度内に出すとしていた「一定の結論」とはこんな事態だったのか。私たちは再三、与野党に歩み寄りを求めてきたが、極めて残念だ。
 既にガソリンの販売現場では混乱が始まっている。歳入欠陥が生じる地方自治体も対応に追われている。福田康夫首相は31日、明言は避けたものの、いずれ与党が3分の2以上を占める衆院で再可決を目指すとみられる。だが、野党の反発は確実だ。福田政権が深刻な状況に追い込まれる可能性もあろう。
 「政治のツケを国民に回す結果となった」と首相が陳謝したように、ここに至った責任は第一に政府・与党側にある。
 首相が先週、道路特定財源を09年度から廃止して一般財源化する方針を表明したのは評価する。ただ、いかにも時期が遅過ぎた。新年度予算の衆院審議段階で与党から修正方針を示すべきだったにもかかわらず、当初は「民主党が先に修正案を」と求めるのみで、まるで人任せだった。
 ◇大連立の後遺症

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04月02日(水)
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