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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■5千万件解明は出来ないだろう
年金記録紛失問題の原因究明を行う「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は31日、最終報告書をまとめ増田寛也総務相に提出した。責任の所在について歴代の社会保険庁長官ら幹部の責任が「最も重い」と指摘。厚相・厚生労働相らの監督責任にも言及したが、個人名はあげなかった。一方、基礎年金番号に未統合の5000万件のサンプル調査の結果、入力ミスなどで該当者の特定に支障が生じる可能性のある記録が38.5%にのぼったことも明らかにした。
松尾座長は31日の記者会見で「二度と繰り返さず、国民の信頼を一刻も早く回復できるよう、検証結果を記録問題解決や社保庁改革に必ず生かしてほしい。今回膿(うみ)を出し切り改革することで50年、100年後に評価されるようにしなければならない」と強調した。
報告書は、問題を起こした根本原因として「国民の大切な年金記録を正確に作成し、保管・管理する使命感、責任感が決定的に欠如していた」と厳しく批判。加入者らが年金請求を申し出た際に記録修正すればいいという「裁定時主義」の事務処理方法にも問題があったとした。
その上で、入力ミスや誤った読み仮名のまま氏名入力された記録がありながら業務引き継ぎをしっかり行わず、「氏名・生年月日・性別」の3要素が完全一致することを条件とした名寄せ作業を行ったため、膨大な記録が統合されずに残ることになったと結論付けた。
組織上の問題点についても言及。「三層構造」と呼ばれる社保庁特有の閉鎖的な人事体制によって「年金記録を探し出すノウハウが組織的に活用されなかった」としたほか、オンライン化などに反対した労働組合については「自分たちの待遇改善を目指すことに偏り過ぎ、年金記録を正確に保つ使命感や視点が希薄になった」と批判した。
責任の所在については歴代社保庁長官や幹部のほか、事務次官ら厚生労働省の監督責任も明記。歴代厚相・厚労相についても「組織上の統括者としての責任は免れない」とした。ただ、ずさんな記録管理は長年にわたり、特定の個人の責任を問うのは困難と判断して個人名の明記を避け、あいまいさを残した。
報告書は検証委員会が、住民基本台帳ネットワークの情報と突き合わせて行った5000万件のサンプル調査結果も盛り込んだ。記録の該当者の特定に支障が生じる可能性のある38.5%を、5000万件にあてはめて計算し直すと1900万件超となる。38.5%以外にも不正確データの存在も指摘しており、ずさんな記録管理の実態が改めて裏付けられた形。政府は全記録の統合作業を進める考えだが、難航も予想される。
【年金問題報告書9】「手口、誤り発見する仕組み作れ」
【年金問題報告書8】「責任の第一は職員だ」
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【年金問題報告書6】「横領、まだあり得る」
【年金問題報告書5】「今もない業務観察」
【年金問題報告書2】「社保庁に安易な考え」
【年金問題報告書4】「システムの検証・評価・改善すべて怠る」
【年金問題報告書3】「5000万件」発生の経緯
【年金問題報告書1】「責任感欠如が根本問題」
11月02日(金)
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