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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■レスター・R・ブラウンリポート
地での耕作中止によって必要となる160億ドルと、土壌浸食防止措置の実施に必
要な80億ドルを足すと、世界全体では年間240億ドルの出費となる。

放牧地の保護と回復の費用については、国連の「砂漠化対策行動計画」を参照す
る。この計画は世界の放牧地の約90%を占める乾燥地帯の対策を中心としたもの
で、土地の回復期の20年間で総額約1830億ドル、年間90億ドルの費用がかかると
推定している。主要な回復策には、放牧地管理手法の改善、過剰放牧解消を促す
奨励金、放牧を禁止して適正な休牧期間を設けることによる再緑化などがある。

費用のかかる事業だが、放牧地の回復に投資した1ドルは放牧地の生態系の生産
性を向上させ、2.5ドルの収益をもたらす。社会的な観点から見ると、放牧に従
事する人口が多く、放牧地の劣化が進んでいる国々は、常に世界の最も貧しい国
に名を連ねている。行動を起こさず、劣化を放置すれば、土地生産性の低下を招
くだけでなく、最終的には生活の糧を失った数百万人もの人々が難民となり、近
隣都市や他国に流出するだろう。

海洋漁場を修復する取り組みの中心となるのは、海洋面積のおよそ30%を占める
海洋保護区の世界的なネットワークを構築することである。これには、ケンブリッ
ジ大学の保全生物学グループが綿密に算出した試算を利用しよう。その費用見積
もりには幅があるが、中間値は年間130億ドルである。

野生生物の保護費用は、もう少し高くつく。世界公園会議の見積もりでは、現在
公園に指定されている地域の管理と保護に必要とされる費用が年間約250億ドル
不足している。それに加え、まだ公園として指定されていないものの、生物多様
性が危ぶまれるホットスポットと呼ばれる地域とその周辺部を考慮すると、恐ら
くさらに年間60億ドルの費用がかかり、総額では310億ドルに達するだろう。

概算が不可能で、ただ推測するしかない取り組みが一つある。それは地下水位を
安定させることだ。その鍵は水の生産性を上げることである。土地の生産性につ
いては、半世紀ほど前から、体系的に向上させる取り組みが世界各地で始まって
おり、その経験を通じてさまざまな知識や技術が蓄積されている。これに匹敵す
るような、水の生産性を向上させるしくみに必要とされる要素は、より水使用効
率の高い灌漑の実施方法と技術を開発するための研究であり、これらの研究結果
を農業従事者に広く伝え、さらにはこのように改良された灌漑の方法や技術が率
先して採用され、使用されるような奨励金を出すことである。

国によっては、灌漑用水の無駄遣いを往々にして助長している補助金を打ち切る
ことで、水の生産性向上プログラムに必要とされる資金を捻出できるところもあ
る。こうした補助金は、インドで見られるような電力に対するものであったり、
また時には米国で見られるように、コストを下回る価格で水を供給するための補
助金であったりする。農業従事者がもっと効率の良い灌漑の実施方法や技術を利
用するよう促す奨励金をはじめ、世界規模でさらに必要とされる資金は、100億
ドルに上るだろうと推測される。

これらすべてを合計すると、地球の修復には年間930億ドルの追加支出が必要に
なる。これには多くの人がこう思うことだろう。「世界には果たしてそれだけの
費用を捻出する余裕があるのだろうか?」と。しかし、ここにふさわしい問いか
けはただ一つしかない。「世界にはこれらに対して投資をせずにいられる余裕が
あるのだろうか?」

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Source: Earth Policy Institute, see
http://www.earthpolicy.org/Books/Seg/PB2ch08_ss7.htm#table1.
プランB予算――パート2:地球修復にかかる年間予算
拠出目標
地球の再森林化:60億ドル
耕作地の表土保護:240億ドル
放牧地の修復:90億ドル
漁場の修復:130億ドル
生物多様性の保護:310億ドル
地下水位の安定化:100億ドル

計:930億ドル

10月30日(火)
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