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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■国会閉幕7・11参院選へ
 参院選は衆院選と異なり、政権選択に直結する選挙ではない。ただし、今回は単に現政権の中間評価にとどまらない。与党の民主党と国民新党が参院で過半数を維持すれば政権は安定するだろう。逆に過半数に達しなければ国会は衆参がねじれ、法案が容易に通らない状態になる。あるいは、選挙結果によっては連立の組み替えとなるかもしれない。いずれにしても、日本政治の行方を大きく左右するということだ。
 それだけ重要な参院選であるにもかかわらず、国会を強引に閉会した民主党の姿勢は批判されて当然だ。
 菅内閣は人事などで小沢一郎前幹事長の影響力を排除する「脱小沢」を貫いたことなどが評価され、支持率は急回復している。この勢いで一刻も早く選挙に突入したいと考えたのは明らかだ。一時、野党に提案していた党首討論や衆参予算委員会を取りやめ、16日は野党が参院に提出した菅首相に対する問責決議案の採決さえ拒否して国会を閉会した。まったく理解できない対応である。
 前内閣は普天間問題と、鳩山前首相と小沢氏の政治とカネの問題に追われ、この国会は予算成立以外にはほとんど成果はなかった。菅内閣もまだ何もしていないに等しいのである。ところが、発足早々、荒井聡国家戦略担当相の事務所費問題も浮上し、これ以上国会が長引き、さらにほころびが出るのを恐れたと見られても仕方があるまい。
 審議不足が明白な郵政改革法案を参院選後に先送りするのは当然としても、地域主権改革関連法案や労働者派遣法改正案など早急に成立させるべき多くの法案が棚上げとなった。インターネットを利用した選挙運動を解禁する公職選挙法改正も、やっと与野党で合意したというのに時間切れで実現しなかった。
 小沢氏の政治資金問題に関する政治倫理審査会などの開催も、なし崩し的に見送られた。これらの責任は民主党にあると指摘しておく。
 参院選公示を前に注目したいのは民主党のマニフェストだ。
 長妻昭厚生労働相が来年度から中学生以下の子ども1人につき月2万6000円を支給するとした昨年の衆院選マニフェストの実現を、財源不足を理由に事実上断念する考えを示したように、菅内閣は財政再建優先にカジを切っている。17日に発表予定の参院選マニフェストは、こうした政策転換が反映されそうだ。
 「脱バラマキ」も「脱小沢」の一環だろう。しかし、昨年の衆院選では鳩山、小沢両氏だけでなく、党を挙げて「政権交代すれば、いくらでも財源は出てくる」などと財源をあいまいにしてきた点を忘れてはならない。公約を変更するには、なぜ、そうなったのか、きちんと反省し、国民に説明するのが先だ。そうでなければ本当の出直しとはならない。
 ◇公約見直しが焦点
 大きな争点となるであろう税制改革で、自民党は消費税率引き上げを具体的に公約に明記する方針だ。民主党も財政再建や社会保障制度改革のために引き上げが必要と考えるのなら、「今後、与野党で協議する」と逃げずに、まず政権与党としてどう考えるのか、具体的な数字を盛り込むべきだ。
 鳩山前首相退陣のきっかけとなった普天間問題も解決のめどは立っていない。菅首相は移設先を辺野古付近とした日米合意を踏まえ、沖縄の負担軽減に努めると言うが、沖縄県民の理解をどう得るのかも、参院選の大きなテーマとなる。
 普天間も、いくつかの国内政策もなぜ、約束通りに実現できなかったのか。それが前政権の失敗から最も学ぶべき教訓だ。政策実現のための道筋を具体的に書き込み、必要とあれば有権者の負担増も訴える−−。そんなマニフェスト選挙の原点に民主党は立ち返ってもらいたい。
 対する自民党は政権に返り咲く足がかりができるかどうかの正念場だ。離党者も相次ぎ、求心力は失われる一方だ。今回敗北すれば民主党以上に深刻な局面を迎えよう。
 公明党や共産党、連立を離脱した社民党、昨年結党したみんなの党、そして初の国政選挙となる新党改革、たちあがれ日本などにとっても重要な選挙だ。2大政党化の流れがそのまま強まるのか。民主、自民両党に不満な人たちの受け皿となって「第三極」が伸びるのか。今後の政治の潮流を決める岐路ともなる。

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06月17日(木)
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