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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■政治的な混乱が続くと覚悟しなければならない。
 そもそも政権発足当初から、外交・安保の認識が異なる社民党との連立は対立を内包していた。首相は記者会見で「根本的な部分において考え方の違いがあった」と指摘。あいまいな形で与党内調整を先送りしてきた政権の脆弱(ぜいじゃく)さは隠しようもない。
 福島氏が閣外に去り、政権の基盤が揺らぐのは確実だ。社民党は28日夜、「連立のあり方について重大な決定をせざるを得ない」とする「抗議声明」を発表した。同党は30日に常任幹事会と全国幹事長会議を開き、連立離脱について対応を協議するが、「閣外協力」はしない方針で、党内で連立離脱論が勢いを増している。
 一方、民主党にも「社民党切り」とも言える首相の対応に不満が募っている。閣議での署名拒否は党の機関決定であり、社民党は「福島を切ることは社民党を切ることだ」(党幹部)と反発しており、次期参院選への選挙協力に影響するのは必至。民主党の小沢一郎幹事長は28日、福島氏に電話し、こんなメッセージを送った。「あんたたちが言っていることが正しいよ」

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普天間移設:「辺野古崎」明記 日米が共同声明発表


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社説:「普天間」政府方針 この首相に託せるのか
                     2010年5月29日 毎日
 日米両政府は、米軍普天間飛行場移設に関する共同声明を発表した。移設先を沖縄県名護市の「辺野古崎地区及び隣接水域」とし、米軍訓練の鹿児島県・徳之島をはじめ県外への分散移転、グアムなど国外移転を検討するという内容だ。
 政府は、共同声明に基づいて普天間移設と沖縄の負担軽減に取り組むとする政府方針を閣議決定した。
 鳩山由紀夫首相は、共同声明の辺野古明記に反発する福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)が政府方針への署名を拒否する考えを表明したため、福島氏を罷免した。
 ◇「信」失った言葉
 普天間問題は首相が約束した、移設先の合意を含めた「5月末決着」も「県外移設」も実現できなかった。
 閣議後に記者会見した首相は、県外の約束が守れなかったことを謝罪し、辺野古移設について「代替地を決めないと普天間の危険が除去できない」と語った。また、移設先・沖縄の理解を得ることなどに「今後も全力を尽くす」と述べ、首相の職にとどまる考えを明らかにした。
 私たちは、鳩山首相が政治の最高責任者の座に就き続けることに大きな疑念を抱かざるを得ない。最大の政治課題、普天間問題での一連の言動は、首相としての資質を強く疑わせるものだった。これ以上、国のかじ取りを任せられるだろうか。来る参院選は、首相の資質と鳩山内閣の是非が問われることになろう。
 首相は5月末決着に「職を賭す」と語っていた。しかし、今回の日米大枠合意は、「辺野古移設」を具体的に決める一方で、沖縄の負担軽減策は、辺野古移設の「進展」を条件とする今後の検討項目となった。カギを握る移設先の同意は見通しも立たない。「決着」にはほど遠い。
 移設先をめぐる混迷は、より深刻だ。首相は「最低でも県外」「辺野古以外に」と明言した。「沖縄県民の思い」を繰り返し、「腹案がある」とも語った。06年日米合意の辺野古埋め立てを「自然への冒とく」と非難した。その結果が、現行案と同様の辺野古移設である。
 国の最高指導者が「県外」「腹案」と自信ありげに断言すれば、沖縄県民が県外への期待を膨らませるのは当然だ。それを裏切った罪は重い。
 県外から辺野古への変心は在日米軍の抑止力を学んだ結果だという。首相として耳を疑う発言だった。「最低でも県外」は党公約ではないと釈明を重ねる姿に、首相の威厳はない。
 鳩山首相の言葉は、羽根よりも軽い。そう受け止められている。政治家と国民をつなぐ「言葉」が信用されなくなれば、政治の危機である。

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05月29日(土)
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