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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■異様な国家の異様な行動である
天安では沈没前に、携帯電話で家族と通話中だった兵士がいたことなどが判明している。南北和解ムードの中で規律が緩んでいたとして、韓国軍に対する批判も強くなっている。
黄情報本部長は「対潜水艦の防御対策は難しい。基地を離れるのは識別したが、わが海域まで侵入し挑発することは予想できなかった。だから十分な対処ができなかった」と、「敗因」を語った。
◇日本、具体策なく米韓連携へ
日本政府は哨戒艦沈没が北朝鮮の攻撃と断定されたのを受け、直ちに「韓国を強く支持する」とする鳩山由紀夫首相のコメントを発表した。ただ、具体的な措置には言及しておらず、当面は米韓両国との連携や中国への働きかけを強調する程度にとどまりそうだ。
岡田克也外相は20日、調査結果について「客観的であり、信頼できると考える」と評価し「北朝鮮に対して国際社会とともに強く批判する」と語った。
それでも、日本が北朝鮮に対して行使できる影響力は限定的なのが実情だ。06年のミサイル発射や核実験を受け、すべての北朝鮮籍船舶の入港禁止や北朝鮮からの輸入禁止に踏み切ったものの、北朝鮮は既にその打撃を中国などとの関係強化によって補っている。
公式な北朝鮮との政府間対話は、拉致問題の再調査で合意した08年8月の協議以来途絶え、民主党政権下では一度も開かれていない。このため、日本は今月末の日中韓首脳会談や日中首脳会談で中国に対し、北朝鮮への影響力を発揮するよう要請するとみられる。だが、北朝鮮が関与を否定する中、中国が同調する可能性は低い。
一方、北朝鮮の攻撃と結論づけられたことで、米軍普天間飛行場の移設問題で迷走する鳩山政権内に「抑止力論議に追い風だ」(党中堅)との見方が出始めた。普天間問題を契機に「抑止力」を疑問視する声が沖縄や社民党内で強まっており、政府は対応に苦慮している。28日にも発表する対処方針でも「抑止力の説明ぶりが焦点になっている」と政府関係者は明かす。【吉永康朗、仙石恭】
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毎日新聞 2010年5月21日
まがまがしい物証が白日の下にさらされた。韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没事件につき、軍と民間の多国籍合同調査団は「北朝鮮製魚雷による水中爆発」が原因と断定し、魚雷のスクリューなど残骸(ざんがい)を公表した。爆発時に発生する物質がこの残骸と天安の両方に付着していた事実なども確認し、信頼度を高めた。
また、「魚雷が北朝鮮の小型潜水艦艇から発射されたという以外の説明はできない」という判断も、潜水艦部隊の動向など状況証拠にも依拠しているものの十分な説得力があり、妥当と言えよう。
鳩山由紀夫首相は「韓国を強く支持する。北朝鮮の行動は許し難い」とコメントした。一方、北朝鮮の国防委員会は声明で、調査結果を「捏造(ねつぞう)」と決めつけ、制裁などに対しては「全面戦争を含む強硬措置」で応えると宣言した。金正日(キム・ジョンイル)総書記を委員長とする事実上の最高機関による異例の直接反応である。
きょう訪日するクリントン米国務長官は、中国、韓国と続く3カ国歴訪中、「天安」沈没問題も重要議題とする。この歴訪の事前説明でキャンベル国務次官補は、北朝鮮をめぐって「近日中に非常に深刻な状況に直面する」と述べた。危機局面に入ったと言わざるを得ない。日米韓は細心の注意を払い、緊密に協力する必要がある。
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は既に「断固たる対応」を宣言している。しかし武力報復の選択肢はない。事態がより深刻化する危険や経済への悪影響を考慮してのことだ。既存の南北協力事業のうち、北朝鮮側地域に韓国企業を誘致している開城工業団地は運営を維持するという。厳しい対立と冷ややかな協力が共存する南北関係ならではの緊張状態が続くことになる。これはやむを得まい。
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05月22日(土)
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