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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ロシアのテロ恐怖は数百年と続くだろう
モスクワ連続テロ イスラム武装勢力の影、治安機関標的か
毎日新聞 2010年3月30日
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 モスクワ中心部で29日起きた地下鉄連続爆破テロは、メドベージェフ大統領とプーチン首相の政権下で安定を維持してきたロシアの治安体制に不安を呼び起こした。事件の背後には、イスラム武装勢力の影がちらつく。経済危機による生活苦で国民の不満が高まる中、首都を直撃したテロは、政権の行方にも影響を与えそうだ。【モスクワ大木俊治】
 最初の爆発はプーチン首相の出身母体である旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身、連邦保安庁(FSB)本部のあるルビャンカ駅で発生した。2件目はパルク・クリトゥールイ駅で起きたが、実際の標的は警察組織を管轄する内務省本部のある隣のオクチャーブリスカヤ駅だったとの見方もある。このため今回のテロは、2大治安機関の威信を傷つけ、政権に揺さぶりをかける狙いが指摘されている。
 事件の背景は不明だが、FSBは監視カメラの映像などから容疑者はいずれも女性で、イスラム系の「殉教者」との説が浮上している。現場からは実行犯とみられる女の遺体の一部が見つかった。09年11月のモスクワ−サンクトペテルブルク間の特急爆破テロでは、南部イングーシ共和国を拠点とするイスラム武装勢力の容疑者グループが当局に殺害・拘束されており、今回もこうした勢力の関与を中心に捜査を進めるとみられる。
 ロシア南部の北カフカス地方では90年代から04年にかけ、チェチェン共和国の独立を求める武装勢力とロシア軍の戦闘が展開され、武装勢力は02年にモスクワの劇場を占拠するなどテロに訴えた。04年2月に起きたモスクワの地下鉄爆破テロも容疑者は特定されていないが、当局は独立派武装勢力が関与したとみている。
 現在、チェチェンではクレムリンの後押しを受けるカディロフ大統領が強権統治を進め、独立派の影響力は弱まる一方、イスラム過激派勢力が隣のイングーシ共和国やダゲスタン共和国に浸透し、警察などを対象にした自爆テロ事件が頻発している。
 背景には若者の失業増など経済情勢の悪化があり、過激派勢力がこうした不満分子を吸い上げてテロ実行犯を育成していると伝えられる。
 メドベージェフ大統領は北カフカス地方の秩序回復を政権の重要課題に据え、1月、クラスノヤルスク州知事として成功した実業家のフロポニン氏を同地方の大統領全権代表に任命し、連邦政府の副首相兼務という強い権限も与えた。武力による過激派掃討と経済改革の両輪で秩序回復を目指す狙いだが、課題は多く目立った成果は上がっていないのが実情だ。
 ロシアでは昨年の経済危機の影響がじわじわと広がりつつあり、公共料金の値上げなどに反発する住民の抗議行動が政権を揺さぶっている。こうした中で起きた今回のテロ事件で、国民の政権に対する不満が一層強まる可能性もある。
 ◇首都警備にもろさ 強権路線復活懸念の声も
 メドベージェフ大統領は08年5月の就任後、経済構造改革を優先課題に掲げ、政治情勢の安定を背景に民主化も徐々に進める姿勢を見せてきた。しかし、首都の治安のもろさを露呈したことにより、プーチン前大統領の強権統治路線の復活を懸念する声も出ている。
 カーネギー国際平和財団モスクワセンターのペトロフ常任研究員は「ベスラン事件(04年9月にイスラム武装勢力が起こした学校人質事件)後、政権は政治的な圧力を強化する一連の措置を取った」と指摘。今回のテロを受け、全国各地で起きている野党勢力らの反政府抗議活動に対する「弾圧」が強まる可能性に言及する。
 メドベージェフ大統領が進める警察改革にも影響を与えそうだ。大統領は汚職など不祥事の多発を背景に、内務省の組織改革と綱紀粛正に乗り出している。今回のテロを防げなかったとして警察批判がさらに強まれば内務省への圧力は増し、プーチン前政権時代に影響力を強めたFSBの権限強化が進む可能性がある。政治評論家のムーヒン氏は「武装勢力掃討作戦などで比較的うまく連携してきた内務省とFSBの確執が深まり、政権の不安定につながる可能性もある」とみる。
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 ■ことば
 ◇モスクワの地下鉄

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03月31日(水)
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