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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■市民レベルの啓蒙運動
 子ども手当は目玉政策のはずだが、アピール度に欠けるのではないか。財政難の折、巨額の予算を投じることに異論もあるが、この国を再生するための「号砲」と位置づけ、説得力のある強力なメッセージを政権は発信すべきだ。少子化対策だけではない。自殺や引きこもりのほか、貧困世帯の子どもは必要な医療や教育から遠ざけられている。いじめ、うつ、親からの虐待も深刻だ。財源だけでなく社会的関心も、人材も、政策立案の知恵もここに傾斜しなくてはならない。

 子ども手当は家族ではなく子ども自身のためのものだということを忘れてはならない。「生きていくことに疲れた」と自殺した中学生にも支給されるはずだった。子育てや若者支援に必要な産業を育て、雇用も創出しよう。保育サービス、出産や育児が安心してできる職場づくりは手当だけではどうにもならない。ここは自治体や企業や非営利組織(NPO)の出番だ。自らの責任を棚に上げ、子ども手当が全額国庫負担ではないことを批判する自治体は情けない。子育てや若者支援を競い合い、熱心な自治体や企業を国民全体が支持する潮流をつくりたいものだ。

 もう一つの危機についても触れておこう。膨張し続ける医療費を抑制したために医療現場の疲弊を招いたという説が主流を占める。特に高齢者医療の改革は喫緊の課題だ。年を取れば誰しもさまざまな疾患を持つようになり、それを医療で治癒する体制を強化するほど医療費が膨らむのは必然だ。疾病だけでなく生活を支えることを考えれば、看護や介護の受け皿が圧倒的に不足している現状の方にも目が向くだろう。

 ◇社会保障の思想変えよ
 地域で暮らすお年寄りにとって、今の介護保険は家族介護を補完するものでしかなく、これでは家族が疲弊するばかりだ。老いた母親を介護し続けた歌手の清水由貴子さんの死を思い起こさずにはいられない。

 では、どうして子育てや医療・介護の危機から抜け出せないのかといえば、その原因の根底には日本の伝統的な社会保障の思想がある。父が稼いだ金で家族全員を養い、その父が勤める会社の保険や年金制度の傘の下で家族全員が守られることを前提とする考えである。子育てや介護は家族内でやるべきで、父の失業や病気、離婚など例外的な場合だけ国家が補完するというものだ。ところが、母子家庭や父子家庭、高齢者だけの世帯も珍しくなくなった。結婚しない人も増え、伝統的な家族観は変更を迫られている。また、パートや派遣などの非正規雇用が全労働者の3分の1を占めるまでになった。古い制度のほころびを赤字国債や埋蔵金で繕っているだけでは、いずれツケが回ってくる。家族や社会の変容に合わせ社会保障や雇用制度を変えなければならない。

 今、子育てや地域医療・福祉を担う小さな事業所では、主婦や企業を退職したシニア、引きこもりの若者、障害者らが支える側として働いている姿を見ることができる。地域の実情や働く側の事情に合わせた多様な事業体が子育てや介護を担い、それが雇用の創出や地域おこしにつながっている。潜在的な雇用の受け皿や労働力はある。この国に生まれた子どもは社会が責任を持って育て、どのような状況の人も就労や社会活動に参加するチャンスと支援が目の前にある。そんな社会を目指したい。

2、社説:2010再建の年 経済 心のデフレに負けるな
                      2010年1月5日  毎日
 日本経済は今、ひと時代前に戻ったかのような規模の縮小に見舞われている。モノが売れず、売れても金額が伸びない。主な販売統計について、2009年の見込みを調べると「○年ぶりの低い水準」のオンパレードである。

 軽を除く新車販売台数は38年ぶりの300万台割れとなる見通しだ。エコカー減税や新車買い替え補助金も効果は今ひとつだった。
 全国の百貨店売り上げは24年ぶりに6兆円台に落ち込む。にぎわっているように見えるデパ地下の総菜の売り上げも18カ月連続のマイナスだ。輸入高級ブランド市場は21年ぶりに1兆円を割るとみられる。

 ◇広がる賢い選択
 新設住宅着工戸数は45年ぶりに80万戸を下回る。特に分譲マンションの建設に急ブレーキがかかり、首都圏のマンション販売は17年ぶりの低水準になる。

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01月06日(水)
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