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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■この予算をどう受け止めるか
 だが国家運営と国民福祉に責任をもつ政権が、持続不能な財政から目をそむけ続けることは許されない。子ども手当ひとつをとっても、財源を将来にわたって確保しようとすれば、この問題を避けて通れない。
 子ども手当を翌年度から2万6千円に引き上げるには5兆円の恒久財源が必要になる。今回ほぼ使い果たす埋蔵金はもはやあてにできない。
 来年度は見送られた環境税も、環境エネルギーの総合政策とセットで早急に実現を図ることが必要だろう。
 この意味で、「国民の生活が第一」という政権公約の土台は危うく、重要な課題が積み残されたままだ。
■財政と成長の戦略を
 鳩山政権は財政再建の戦略を早急につくるべきだ。中長期の目標と、そこに至る道筋、必要な増税規模を国民に示し、理解を求め、実行に移す。それが王道ではないか。
 そのために欠かせないのが、しっかりした成長戦略だ。
 鳩山内閣には、崩れかかった国民の生活基盤を再興しようという強い意欲はある。だがそれだけで国民の安心は築けない。
 政権を取り巻く経済環境は来年も厳しい。デフレ脱却のめどは立っていないし、米欧経済も低迷しており輸出環境の劇的な改善も期待しにくい。だからこそ、あすの日本の産業と雇用の基盤をいかに築いていくのか。政権のメッセージがほしい。
 成長が期待されるのは、地球規模の課題となった環境、超高齢化社会を支える医療・介護、膨張するアジア内需などの分野である。これらの有望市場を切り開き、日本の経済成長の糧にする。その戦略を描くことは鳩山政権に課せられた任務だ。
 菅直人副総理兼国家戦略相が率いる国家戦略室が中心になって、近く成長戦略をまとめるという。政権をあげて取り組む意気込みを期待する。
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社説:来年度予算案 財源「綱渡り」の危うさ
                     2009年12月26日 毎日
 鳩山政権下で初となる予算案がまとまった。総額92.3兆円の超大型である。金融危機を受けた世界同時不況のさなかに組まれ、史上最大規模に膨らんだ09年度当初予算でさえ88.5兆円だった。概算要求段階の約95兆円からは縮小したものの、景気の現状を考慮しても驚くべき巨額さである。
 では、奮発した92兆円の買い物で我々は何を得るのだろう。規模に見合った対価を期待できるだろうか。「幾分は」が、その答えだろう。
 ◇「控除から手当」は前進
 初めての経験ずくめであることを思えば、初年度から満点を望むのは非現実的だ。予算編成をめぐるある程度の混乱もやむを得まい。例年なら編成作業が本格的に始まる9月半ばに政権が誕生し、普天間飛行場の移設問題など、他にも重大案件に直面する中で手がけた予算だった。
 安全優先の道を選ぶこともできただろうが、あえて公約した主要政策を初年度から野心的に実行しようとした姿勢は、評価したい。野党時代に描いた構想をその通り実現する難しさは国民もある程度、理解するだろう。
 ハンディを負っての初編成を、政権誕生から約100日で終えたこと自体、一定の成果といえそうだ。
 予算案の中身を見ても、子ども手当や公立高校の実質無償化など、民主党のマニフェスト(政権公約)で目玉政策とされた項目が完ぺきではないにせよ盛り込まれた。「所得控除から手当へ」に向けて、大きな一歩を踏み出したともいえる。
 また、地方交付税を積み増すなど、財源が限られた中で地方配慮の姿勢も強く打ち出した。一方で公共事業費は前年度比で大幅に減少し、「コンクリートから人へ」もそれなりに実行に移した形だ。
 何とか及第点は確保できたのではないだろうか。
 だが、危うい及第点であることは間違いない。歳入の約半分(48%)を借金でまかなう異常さである。さらに税収と借金でも足りない分は、「埋蔵金」など税外収入に頼ってしまった。これが10.6兆円にも上る。大半は一度使えば、なくなってしまうお金だ。

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12月26日(土)
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