ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[257825hit]

■雲の上の総理
 経済対策もそうだ。危機的な財政の下、景気の下支えと財政規律を両立させることは確かに難しい。だが、閣僚の意見が食い違ったまま財政支出を迫られ「コンクリートから人」への政治という、当初の理念もかすみがちだ。安全保障問題で社民党、経済対策をめぐる国民新党という連立2党の発言力の強さも、鳩山内閣の政策の軸足が定まっていないことに起因する。
 混乱の背景には、政治主導が軌道に乗っていないことがある。内閣が掲げた「脱官僚」の実現に向け、閣僚、副大臣、政務官の「政務三役」による政策調整が各省で始動した。だが、官邸で経済対策などの企画・立案を行う機能が稼働していない。特に、菅直人国家戦略担当相、平野博文官房長官による調整力の発揮が不十分だ。これでは各省の負担が増して消化不良を来し、実態は従来の官僚主導のまま、ということになりかねない。
 官邸が調整に二の足を踏み、首相自身の判断も示されない中、目立ち始めたのが小沢氏が発言力を強める「党高政低」の構図である。いったい、誰が本当の決定権者なのか−−。国民の多くが首相の指導力に疑念を抱いたとしても無理はない。小沢氏を意識し過ぎだ
 どう、立て直すか。内閣への権限集中に向け、態勢を再構築すべきである。政策の参謀となる国家戦略室に明確な権限を与え、内閣に副大臣、政務官など、より多くの国会議員スタッフを送りこめるよう、制度を改める必要がある。本来、さきの臨時国会で真っ先に措置すべきことを先送りしたツケが回っている。必要な法整備を次の通常国会で、予算と同等の重視度で急がねばならない。
 小沢氏主導による政権のいわゆる「二重権力」問題は、小沢氏の意向を過剰に意識し、なかなか決断に踏み切れない党の体質にむしろ、問題がある。そもそも「政策は首相、党務は小沢氏」という分業自体に無理がある。努めて意思を疎通し、政権運営に停滞を来さない責任が両氏にある。廃止した党政調を復活させ、内閣と党の政策決定の一体化を図ることもひとつの方策であろう。
 首相自身の政治献金の虚偽記載疑惑をめぐる捜査は、間もなく当局による処分が決まる。米軍基地問題、公約修正も合わせ、自民党からの攻勢もさすがに次期国会では強まろう。首相が党首討論を避けるような逃げ腰では到底、乗り切れまい。
 低下傾向とはいえ、支持率55%はなお比較的高い水準だ。国民の多くには、政権選択で自らが投票し鳩山内閣を生み出したという、参加意識があるのではないか。政治の変化を期待する底流に変化はないはずだ。
 だからこそ、首相はマニフェストの原則を軽んじず、さまざまな課題について国民に語りかけ、理解を得る必要がある。自らが政策実現の気概と覚悟を示すことが今、何よりも肝心である。
――――――――――――――――――――――――――――――
社説 自ら信頼を傷つけた鳩山首相の100日(12/24)
                      2009年12月24日 日経
 鳩山内閣が24日で発足から100日目を迎えた。政権交代への大きな期待を背負っての出発だったが、現実は鳩山由紀夫首相の指導力不足による迷走ぶりが目立っている。行政の効率化などに向けた取り組みはなお不十分であり、とても合格点はつけられない。

 8月末の衆院選での民主党圧勝の原動力は政治と官僚のもたれ合いを断ち切り、政治システムを時代に合った形に作り替えてほしいという有権者の意識だったのではないか。

司令塔不在が迷走生む

 戦後の日本政治を率いてきた自民党は、2006年以降に首相が3年連続で交代するなど統治能力の低下をさらけ出した。民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)の筆頭に掲げた「税金のムダ削減」や「天下りの根絶」は政権交代の必要性を訴える上での旗印となった。

 しかし鳩山内閣が初めて取り組んだ来年度の予算編成や税制改正で、十分な成果があがっているとは言い難い。予算の使途を公開の場で吟味する「事業仕分け」を導入したものの、削減規模は衆院選で掲げた約7兆円に遠く及ばなかった。


[5]続きを読む

12月24日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る