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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■日本人の平均寿命、世界一になったことによる問題点
でも、団塊の世代が定年を迎える時期となり、さらに大勢が高齢者の仲間入りをするに至って、もうこの問題を見て見ぬふりはできなくなりつつあります。あえて「100歳」を新たな生活設計の区切りに置いたのは、そこを明確にしたかったからです。
シニアを取り巻くマネー環境は大きく様変わりしました。現在の70歳より上の世代は夫婦で年間450万円も年金がもらえるので、何歳まで生きても、生活費の心配はあまりせずに済みました(夫はずっと会社勤め、妻は5年働いて、後は専業主婦のケース)。生活費が仮に1カ月25万円で済めば、1年に約100万円も余る計算です。
でも、これから年金をもらう世代は事情が別です。年金額がぐっと減るので、長生きすればするほど、生活費が足りなくなるおそれが高くなってしまうのです。現在の60歳夫婦が受け取れる年金額は270〜280万円までに減っています(同じ条件の場合)。
少し上の世代に比べて、年間170万〜180万円も少ない年金の穴埋めを、これからの受給者は自前資金でまかなわなければなりません。自前資金からの取り崩し額が増える分、リタイアまでに貯めた老後資金を、シニアライフの途中で枯渇させてしまうリスクが確実に高まっているのです。
大企業に勤めていれば、公的年金に企業年金の上乗せが期待できます。でも、その扱いが生涯続く保障はありません。経営の重しになりつつある年金を、企業側は徐々に細らせていく動きを見せていて、会社を離れて久しい80歳以上の年金を払い続けてくれるかどうかは先行き不透明になりつつあります。
「人生80年+α」と考えられていたかつては、20代前半から約40年間かけて蓄えた資産を、60歳から先の20年間余りで食いつぶしていました。ほぼ消費オンリーの期間(20年間)は、貯める期間(40年間)の半分しかないので、比較的バランスはとりやすかったでしょう。
しかし、100歳まで生きると仮定すれば、60歳リタイア後は40年間もあります。40年間かけて蓄えた資産を、残りの40年間も枯渇しないように保たねばならなくなったわけです。貯める期間と、消費する期間がほぼ同じですから、現役期間の稼ぎだけで、老後すべてのコストをまかなうのは難しくなってきます。
夫婦がともに長寿であるのは素晴らしいことです。でも、長生きしてどちらかが先に健康を損ねると、老夫婦がどちらかを介護するような状況が生まれます。しかも、親世代も長寿である場合、老夫婦がさらに1世代上の父母を介護するケースも起き得ます。かさむ医療・介護コストはますますシニア家計を圧迫する可能性が出てくるわけです。
もっとも、定年退職時に老後資金を全額確保しておく必要はありません。80歳から先の生活費は、80歳以降に手に入れても構わないわけです。60歳以降の収入源としては、働いて得る所得と、資産運用で得る所得の2種類を組み合わせたいところです。企業の雇用はこの先、65歳まで定年延長が進むと思われますが、その後の70、80歳まで働くのが当たり前の時代になっていくでしょう。例えて言えば、60歳が「義務教育」のような扱いになっていくのかも知れません。
さすがに70歳を過ぎると、雇用の機会はなかなか求めにくくなります。自営業で仕事が続けられるようなワークプランを、リタイア前から準備しておきましょう。60歳を通過点と考えて、スキルと人脈を積み上げておくのが得策です。
ーーーーーーーーーーーーー 省 略 ーーーーーーーーーーーー
様々な手を講じておいても、予想外の事態は起き得ます。支出がかさんで、資金が底を尽いてしまうケースは誰にとってもありえる事態です。だから、生活保護を受けることを、恥ずかしいと感じる必要はありません。納税義務を果たしてきた70、80代が生活費に困窮して、「救命非常ボタン」として生活保護を申請するのは、当然の権利です。
60歳から先の生活では、現金が大事になってきます。収入が年金しかなくなるのなら、手元のキャッシュを減らさないようにしたいところ。フロー(現金)重視型の家計がシニアライフには似つかわしいのです。
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07月19日(日)
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