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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■北朝鮮再核実験:中国の対応が焦点
北朝鮮の相次ぐ核実験は、地域の今日の安全を脅かすにとどまらず、人類の明日を危うくしている。核不拡散条約(NPT)体制を一層空洞化させかねないからだ。
4月の北朝鮮のミサイル発射実験のその日、オバマ大統領はたまたまプラハで「核のない世界」を目指すという歴史的な演説をした。来年のNPT再検討会議に向け、核拡散抑止への環境が整いつつあると見られていた。
そこにこの実験である。世界の流れに冷や水を浴びせた北朝鮮の行動に、重ねて強い憤りを覚える。
北朝鮮は寧辺の核施設を監視してきた米国と国際原子力機関(IAEA)の要員を国外に追い出した。北朝鮮のやりたい放題になっている。
北朝鮮に再び核実験をしないよう求めた06年の安保理の制裁決議には、中国、ロシアも賛成した。その中国は6者協議の議長国でもある。北朝鮮の無謀な行動を止められなかったことについて、中国に対する失望は深い。
■日本も積極的に動け
中国には中国の外交判断もある。北朝鮮に対して強い姿勢に出れば、北朝鮮がより孤立し、中国の国益にも世界の安全にもむしろ良くないということだ。とはいえ、安保理では北朝鮮に向けて強いメッセージを出す方向で、制裁の徹底実施や追加措置などの協議に主導的な役割を担ってもらいたい。
オバマ政権にとっては、これから対話に取り組もうとしていた北朝鮮から早々と出ばなをくじかれた形だ。政権の対北姿勢への批判が米国内で強まる可能性もある。
だが、核の拡散による恐怖から世界を救い、閉鎖的な独裁国家を世界に開かれた国にするという大きな目標にとって北朝鮮は最大の試金石のひとつだ。北朝鮮の変化を促すことができるのは何と言っても米国だ。
中国の役割もはっきりしている。米国とともに東アジアの長い目で見た安全保障がどうあるべきかを考えてもらいたい。世界同時不況の中で米中の戦略的な連携が重みを増している。朝鮮半島の安定はそれを生かすべき最たる領域ではないか。
日本は、被爆国として「核のない世界」への取り組みに参画しようとしている。同時に、北朝鮮の核実験や拉致問題を深刻な脅威として受け止めざるをえない立場だ。現実には日朝の直接協議で事態を動かせる可能性は、いまは残念ながら乏しい。
米中の連携を促し、韓国とともに地域の安全確保へ積極的に後押ししていきたい。
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2、社説:北朝鮮が再核実験 安保理は断固たる対応を
毎日新聞 2009年5月26日
北朝鮮が「再度の核実験に成功し核兵器の威力をさらに高めた」と発表した。各国の観測データは、十分な成功ではないとの見方が強かった06年の実験より、はるかに強い爆発が起きた可能性を示している。
発表通りの核実験なら国際社会のルールを無視した暴挙であり、決して容認することはできない。先月の弾道ミサイル発射の際には「人工衛星を打ち上げた」と偽装の努力もしたが、今度はそんな遠慮さえない。前回の核実験を受けた国連安全保障理事会の制裁決議への違反には、一点の疑問の余地もない。
◇明白なルール違反
麻生太郎首相は「断じて容認できるものではない。まずは安保理から始める」と語り、韓国の李明博(イミョンバク)大統領との電話協議では国際社会が北朝鮮に厳しく対応すべきだという認識で一致した。日米韓の連携も改めて確認した。もっともなことである。挑発的なルール違反に、安保理は断固たる姿勢で臨むべきだ。
ただ国連レベルでの対応には限界もある。北朝鮮の核問題を扱う6カ国協議は行き詰まっているが、結局はその構成国が実質的な利害関係者と言える。そして事態を打開するには、北朝鮮の意図を冷徹に見定め、的確な対策をとる必要がある。
北朝鮮は東西冷戦終結に伴うソ連・東欧社会主義圏の崩壊を機に、体制の生き残り戦略を大転換させた。その核心は、米国との関係正常化による安全保障である。クリントン政権時代の北朝鮮に有利な「米朝枠組み合意」や、ブッシュ政権末期に獲得したテロ支援国家指定の解除は、そうした戦略の一環と言える。
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05月27日(水)
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