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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ インド同時多発テロ (1)
死傷した日本人ビジネスマン2人は出張で現地を訪れ、別のホテルに投宿した直後に撃たれた。
インドでは最近、爆弾テロが相次いでいた。しかし、銃を乱射し、外国人も利用する高級ホテルに立てこもる例は珍しい。
ムンバイは世界の外資系企業も集まる経済の中枢都市だ。テロの影響を受け、地元の証券取引所が27日の株取引などを休場する事態に追い込まれた。
ムンバイには日系企業100社余りが事務所を構え、270人を超える邦人が住んでいる。
先月来日したシン首相は麻生首相との間で、日印の経済連携協定(EPA)の早期妥結に向け協力することで合意したばかりだ。日本は、ニューデリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道の建設に円借款の供与も約束した。
テロが続けば、こうした日印間のプロジェクトや日本の投資活動に陰りが出ることが懸念される。躍進を続けるインド経済にとっても打撃となりかねない。
日本はじめ米国、英国などの政府や、国連の潘基文事務総長が、今回のテロを非難する声明を公表したが、当然のことだ。
犯行を名乗り出た「デカン・ムジャヒディン(聖戦士)」は、存在を知られていなかった組織であり、背後関係も不明だ。
過去には隣国からイスラム過激派が潜入し、テロを引き起こしている。9月にニューデリーで発生した連続爆破テロでは、インド国内のイスラム過激派グループが犯行声明を出した。今回の場合はこれとつながりがあるのか。
インドはパキスタンとともに南アジアの核保有国である。社会不安の拡大が最も懸念される。
インド当局には、拘束した容疑者の取り調べなどを通じ、組織実態や背後関係を徹底的に捜査してもらいたい。それには国際社会が協力することも重要だろう。
(2008年11月28日01時59分 読売新聞)
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3、社説:インド同時テロ 不気味な「点と線」を追え
毎日新聞 2008年11月28日 東京朝刊
南アジアに伏流する暴力のマグマが、また噴き出した。インドの経済発展を象徴する商業都市ムンバイ。英国植民地時代の古い建物と近代的な高層ビルが共存するこの街で、自動小銃や手投げ弾などを持った武装グループが、高級ホテルやレストランなどを次々に襲った。日本人ビジネスマンも犠牲になった。死者は100人を超えたという。
恐るべきテロである。冷血の所業を許してはならない。ムンバイでは06年にも通勤列車などを狙った同時テロがあり約190人が死亡した。93年には市内13カ所で起きた連続爆破で257人が死亡し、03年にも3件の爆破テロで60人余りが亡くなった。この街でのテロは枚挙にいとまがない。
深刻なのは、一連のテロに隣国パキスタンの影がちらつくことだ。06年の鉄道テロについてインド当局は、パキスタン軍情報機関の主導でイスラム過激派が実行したとみているという。93年と03年のテロも、カシミール地方の分離独立を求めるイスラム過激派の関与が言われている。
カシミールの帰属はインドとパキスタンの紛争の根っこにある問題だ。ヒンズー教(インド)とイスラム教(パキスタン)の対立もあって、両国は核拡散防止条約(NPT)に加わらずに核兵器を持ち、90年代末には核実験を繰り返して核戦争さえ現実味を帯びた。
今回のテロに関して、まずはインドとパキスタンの冷静な対応を求めたい。イスラム過激派とみられる組織が犯行声明を出し、米英人らが人質にされた点では、犯行組織はアルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンに近いように思われる。テロを機に核保有国のインドとパキスタンの対立が強まるのは、彼らの思うつぼだろう。
それにしても南アジア周辺の不穏な情勢には言葉を失う。9月にはパキスタンの首都イスラマバードの高級ホテルで爆破テロが起きた。アフガンでは27日、首都カブールの米大使館近くで自爆テロがあった。ムンバイ・テロとの関係は不明ながら、インドとパキスタン、アフガンの情勢は不気味な「点と線」で結ばれていると見た方がいい。
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11月28日(金)
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