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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 深刻な非正社員の割合
 東京都出身。高校を卒業後、長野県内で働いたが、4年半前、より確実に稼ごうと、景気がいい愛知県に来た。派遣社員として4年、トヨタグループの工場で働いたが、派遣を格下に見る職場の雰囲気や、正社員との格差が納得できず、今年4月から、待遇面で充実している期間従業員になった。10月以降の契約延長にも手応えを感じていただけに、「打ち切りは『まさか』という思いだった」。
 従業員寮は退社3日後に引き払った。東京に戻れば、両親に心配をかける。悩んだ末、6畳一間の友人宅に転がり込んだ。
 当座の生活費は、数十万円の預金と、3か月間給付される毎月15万円の雇用保険だけ。閉店間際のスーパーに駆け込んで買う値引きされた総菜、即席めんなどを主食に、ハローワークなどでの職探しの毎日だ。
 「まだ若いし、小さなチャンスを生かしていくしかない」と、男性は自分に言い聞かせている。
 元気な中部のけん引役だったトヨタグループが、国内販売の不振、北米での失速、円高のトリプルパンチに見舞われた。
 生産調整のため、トヨタ自動車は、国内の工場で働く期間従業員を9月までの半年間で約2割削減し、約6800人に絞り込んだ。豊田自動織機は半年で500人、デンソーは8月までの5か月で400人、アイシン精機も9月までの半年で300人の期間従業員を削減。余剰となった労働力の調整が急激に進む。
 荒波は、九州にも及んだ。トヨタ自動車九州は6〜8月、800人の派遣社員との契約を一時打ち切り、大幅な減産に入る。日産自動車も九州工場などの派遣社員を削減、影響は下請けにも波及している。
 福岡県苅田町。日産自動車の下請け工場で働く男性(44)は10月半ば、派遣会社の担当者から突然、「工場から今月で解約したいと申し出があった」と告げられた。
 8月にテレビでトヨタ自動車の大幅減産のニュースが流れた時、派遣仲間と「景気が悪くなると真っ先に切られるのは俺たちだ」と話し合っていた。それでも、4月からの1年契約が半年も残っている時点で、突然、解約を通知されるとは思ってもいなかった。
 幸い派遣会社からの紹介で今月から電機メーカーで働けることになった。正社員を募集している求人情報誌は「上限40歳」ばかり。「職が見つかった自分はまだマシ。自分より年上の人はどうしているのだろう」。同じ工場に100人ほどいた派遣仲間のことが気にかかるという。


(2008年11月7日 読売新聞)


11月08日(土)
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