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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 首相退陣表明 またも無責任な政権投げ出し
 なのに、ここへきて首相が急に辞任を決断したのは、補給支援特措法の延長や消費者庁創設などに成立のめどがたたなくなったからだ。「平和協力国家」と「安心実現政権」を掲げる首相にとって、これらが頓挫すれば政権そのものが意味を失いかねない。
 決定的だったのは、与党である公明党からの思わぬ攻勢だった。
 来夏の東京都議選をにらんで早期解散に目を向ける公明党は、衆院再可決に待ったをかけた。世論の反発を買うという理由からだった。
 さらに、物価高や景気減速を受けた総合経済対策では、予算のばらまきにつながるとして渋る首相を押し切って定額減税を受け入れさせた。
 公明党の協力がない限り、衆院の再可決の道は閉ざされる。選挙になれば創価学会の支援なしには自民党の勝利はまったくおぼつかない。そんな事情が自民党内にも影響し、首相への大きな圧力になったのは間違いない。
 財政と安全保障の両面で政策の方向性を定められない。そんな福田政権のひ弱さがあらわになった。
 民主党、世論、そして公明党。首相を取り巻くこの包囲網が、首相のやる気を失わせたのは想像に難くない。
 ■政権の正統性回復を
 首相には、打開の道もあったはずである。首相の座についてから最初の予算案を編成したあと、今年1月にも衆院の解散・総選挙に打って出て、政権の正統性を取り戻すことにほかならなかった。
 小泉政権時代の郵政総選挙から3年。安倍、福田と政権がたらい回しされたのに、政権選択を問う衆院選は一度も行われていない。参院選では与党が惨敗した。
 衆院では自民、参院では民主と、多数派が異なる中で、政策の方向がなかなか決まらないのは構造的なものだ。自民党のだれが首相になろうと、政権運営は早晩、行き詰まらざるをえない。その根本的な矛盾がある限り、世論の支持も上がらない。
 自民党総裁選を経て選ばれる新首相の使命は、できるだけ早く衆院を解散し、国民の審判を受けることだ。それなしに、まともで力強い政権運営をすることはできない。
 政治がいま迫られているのは、社会保障の立て直しと財政の再建を両立させる方法を国民に示すことだ。さらに、効果的な景気対策をどう講じるかという難題も重なっている。
 場合によっては、国民に痛みを強いる選択も避けられまい。民意を体した正統性のある政権を一日も早く日本に取り戻さなければならない。
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社説:首相退陣表明 またも無責任な政権投げ出し
                    2008年9月2日  毎日新聞
 あまりに唐突な政権の投げ出し劇である。福田康夫首相が1日夜、緊急記者会見し、退陣を表明した。12日から始まる臨時国会を前に退陣することについて首相は「新しい布陣のもとに政策の実現を図る」などと理由を述べたが、そのまま受け入れるわけには到底いかない。無責任政治はここに極まった。
 国会で所信表明演説を終えた直後の昨年9月12日、辞任表明した安倍晋三前首相を思い出した人も多いだろう。日本の首相は、米国やロシア、中国などの大統領や国家主席を相手にしているのだ。2代続けて、このように短期間で、政権を放り出すのは異常事態であり、国益を損ねる行為でもある。果たして、今の自民党に政権担当能力があるのだろうかと疑う。
 自民党では早急に党総裁選を行う方針で、後継には麻生太郎幹事長が有力視されている。しかし、安倍前首相、福田首相ともに、そもそも首相就任後、衆院選で有権者の審判を受けずにきたことが、自信を持って政権運営できなかった大きな要因だったのだ。
 直ちに衆院を解散し、総選挙を行って有権者の審判を仰ぐべきである。新首相が決まったとしても、その内閣は、もはや選挙管理内閣と見なすべきだ。
 つまずきは大連立
 それにしてもだ。なぜ、この時期なのか。
 福田首相は会見で「だれも手をつけなかった国民の目線の改革に手をつけた」などと胸を張り、「私は自分のことを客観的に見ることができる」と開き直りもした。そのうえで、臨時国会を前に「新しい布陣のもとで政策の実現を図るため」、そして「政治空白を作らないため」に退陣するのだと語った。

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09月02日(火)
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