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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 「メタボ」(2)男性の51.5%と半数を超える。
あす4月1日からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に焦点を当てた「特定健診・特定保健指導」が始まる。メタボに当てはまる該当者と予備群を発見し、生活習慣を改善させる保健指導によって、生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)を防ごうという狙いだ。メタボの基準について、厚生労働省は腹囲が男性85センチ以上・女性90センチ以上としているものの、「国が示す基準には科学的な根拠がない」という批判は少なくない。加えて、健診に関する目標が未達成だった場合、各保険者が「後期高齢者医療制度」へ支出する支援金にペナルティー≠ェ課せられる仕組みになっており、加入している保険で国民に健康格差≠ェ生じることも懸念されている。(山田 利和)

 「メタボ対策で健康になるという根拠は、もともと希薄。特定健診・特定保健指導は、こじつけでつくられたような制度で、明らかにおかしい」
 今年3月1日、「メタボより怖い『メチャド』ってな〜に?」(あけび書房)を出版した医師で労働衛生コンサルタントの服部真さん(石川勤労者医療協会城北病院副院長)は、メタボ健診について根本的な疑問を投げ掛ける。

 市町村が実施してきた従来の住民健診は、さまざまな病気の早期発見・早期治療が目的だったが、新たな制度では、糖尿病・高血圧・高脂血症の原因となるメタボを見つけ指導することに限定された。厚労省は、男性85センチ以上・女性90センチ以上をメタボの腹囲基準としている。

 しかし、メタボの国際的な基準は、世界保健機関(WHO)・米国コレステロール教育計画・国際糖尿病連盟による3つの基準がある。これらのうち、WHOと米国の基準では、肥満は必須事項ではなく、痩(や)せすぎのメタボ(痩せていても血糖・血圧・脂質などの異常が重なっている状態)も存在するとしている。また、国際糖尿病連盟のアジア人向けの基準をみると、男性の腹囲は90センチ以上となっている。

 これらを挙げ、服部さんは「国際的な基準に比べても、日本の基準は特異で根拠がないという批判が公衆衛生の専門家から相次いでいる」と指摘。そのうえで「メタボは、腹腔内の脂肪(内臓脂肪)が糖尿病・高血圧・高脂血症といった生活習慣病に関係しているのではないかという仮説の一つに過ぎない。メタボが従来の危険要因(高血圧、高血糖、喫煙など)の重複以上に意味があるという根拠は、世界的にも確立されてはいない。新たな制度は、メタボという科学的な根拠が明確ではないものを中心に据えていること、また、国際的にみても奇妙な基準で測定されることなど、二重におかしい」と強調する。

 このような制度の欠陥≠示し、服部さんは「国が今やるべきことは、メタボではなく『メチャド』対策だ」と語る。
 メチャドとは、メタボリックをもじった服部さんの造語「メチャ・ド・リスク=メチャ(めっちゃ)・ド(どえりゃー:非常にという意味の名古屋弁)・リスク(危険)」の略称。メタボというと、不健康な生活習慣が原因とされているが、長時間労働や不規則勤務、身分が不安定な非正規雇用が増えている雇用格差≠フ問題、職業ストレスなど労働を取り巻く環境がメタボを含む国民の不健康を生み出しているのではないかという視点だ。
 英国では、生活習慣の違いで補正をしても、雇用格差や職業ストレスでメタボになる率に2倍以上の違いがあるという研究も報告されているという。

 「一口に生活習慣を改善するといっても、それを自分の裁量で変えられる人は少ない。労働時間の制限など労働条件を改善しなければ、生活の改善は個人レベルでは難しい。メタボの原因となる生活習慣の乱れは労働や社会環境などによって規定されている」と服部さん。
 そして、提案する。「新しい制度は、メタボにしか注目しないため、癌(がん)や鬱(うつ)病などで痩せても成果となってしまう。そんな、おかしな制度は見直し、誰もが健康で文化的な生活を送れるように、国が公衆衛生や社会福祉に努めることはもちろん、国民みんなで生活や労働、地域の環境を変えていくことに動き出すべきだ」
更新:2008/03/31 18:13 キャリアブレイン
 

05月10日(土)
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