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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ イージス艦衝突事件
 灯火に気づいたという衝突の12分前であれば、二つの船は数キロ離れていた。衝突を避けることは十分できたはずだ。だが、イージス艦はその後も11分間にわたって、かじを切ることも、速度を落とすこともしなかった。衝突直前まで自動操舵(そうだ)だったというのだから、常識では考えられない進み方だ。
 しかも、前方にいたのは、沈没した清徳丸だけではない。仲間の漁船が船団を組んで進んでいた。イージス艦はその船団に突っ込んでいったかたちだ。
 最新鋭の自衛艦の上で、乗組員はいったい何をしていたのか。漁船を見つけた見張り員は、当直士官やレーダー員にすぐ伝えたのか。漁船がどう動くか、きちんと目配りを続けていたのか。
 そのころ当直の乗組員が交代の時刻だったようだ。引き継ぎで海上への注意がおろそかになっていなかったのか。
 そうした初歩的な疑問に自衛隊はいまだにきちんと答えていない。衝突の前後に艦内がどんな状況だったかも明らかにしていない。
 艦内で何が起きたのかをつかめないというのなら、まったく統制がとれていないことになる。こうした組織に日本の安全保障を委ねることができるのか。
 そもそも海上自衛隊が目の前の漁船すらよけられないのなら、どうやって日本を守るのか。自衛隊の士気や規律が崩れているのではないかと心配だ。
 自衛隊は事故にかかわる情報を包み隠さず、洗いざらい公表すべきだ。国防の重要性を盾に組織防衛をすることは許されない。
 石破防衛相の責任は重大である。部隊の実情をつかめなければ、シビリアンコントロール(文民統制)は絵に描いた餅だ。今回の事件では日本の民主主義も試されている。

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イージス艦事故 漁船との衝突も回避できぬとは(2月20日付・読売社説)
 
最新鋭のイージス艦でも防げない事故だったのか。徹底した原因の究明が必要だ。
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が千葉県房総半島沖で漁船と衝突し、漁船の船員2人が行方不明になった。横須賀海上保安部は業務上過失往来危険容疑で「あたご」艦内を捜索した。
 「あたご」は、米ハワイ沖でのミサイル発射試験を終え、事故の5時間後に横須賀港に入港する予定だった。日本近海に来れば、漁船などの存在を警戒するのは、航海上の常識である。
 イージス艦は、同時に100個以上のミサイルや航空機を追尾する世界最高水準のレーダーを搭載している。「あたご」は昨年3月に就役したばかりで、海自のイージス艦5隻の中で最も新しい。建造費は約1400億円にもなる。
 事故当時、艦橋上には、見張りを含め、10人前後の隊員がいた。現場海域の波は平穏で、視界も良好だった。それでも、漁船の発見が遅れたのはなぜか。
 どんな高性能の艦船でも、乗員が適切に操作し、安全に十分留意しなければ、事故は防げない。30人が死亡した海自潜水艦と遊漁船の事故から20年が経過している。隊員に気の緩みはなかったか。
 漁船との衝突さえ回避できないようでは、日本の安全保障は心もとない。「万が一、自爆テロの船だったらどうするんだ」との渡辺金融相の指摘ももっともだ。海自の海上警備行動や船舶検査などは大丈夫か、と思う人もいるだろう。
 「あたご」の艦首右側には、衝突によるものと見られる傷跡が確認されている。海上衝突予防法は、船がすれ違う場合、相手を右側方向に見る船が航路を変更するよう定めており、「あたご」側に回避義務があった可能性が高い。
 実効性ある再発防止策のためにも、防衛省は、海保に協力して事故の経緯を検証し、責任を明確にすべきだ。
 防衛省内の危機管理体制の不備も問題だ。石破防衛相への報告は事故発生の1時間半も後だった。福田首相は、「すぐに大臣には連絡が行かないといけない」と防衛相に改善を指示した。
 事態の重大性に応じて、より迅速に情報を防衛相らに伝達する体制を構築することが急務である。
 海自では近年、不祥事が続いている。イージス艦情報流出事件は、日米の安全保障関係にも影響を与えた。インド洋での給油量取り違えや航海日誌の誤廃棄のほか、昨年12月には横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で火災が起きた。

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02月23日(土)
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