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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■レスター・R・ブラウンリポート
上にあまり耕作に適さない土地、草木のない荒れた丘陵斜面などにおいて、植林
活動が行われることのほうが多くなると考えられる。
破壊された森林を回復させた大きな成功例として挙げられるのが韓国だ。ここ40
年で、地元の人々を動員して、一度は荒れ果てた山々や丘陵に森林をよみがえら
せた。中国などほかの国でも、広範囲にわたって植林が進められている。だがそ
のほとんどが韓国の場合よりも乾燥した土地で行われており、成功の度合いはは
るかに低い。
トルコでは草の根レベルで、NGOの主導による大掛かりな植林プログラムが実
施されている。労働力のほとんどがボランティアだ。また、ケニアにも同様の例
がある。ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏率いる女性グループが、
3,000万本に上る植樹を成功させたのだ。
世界銀行の見積もりに基づいて、苗木の入手費用を1,000本当たり40ドルとし、
また標準的な植栽密度が1ヘクタール当たり約2,000本であるとすると、苗木の
入手費用は1ヘクタール当たり80ドルとなる。植林にはふつうかなりの人件費が
かかるものだが、今回の見積もりでは、植林活動のほとんどを地元ボランティア
の手で行うものと考え、苗木調達費用と人件費を合わせて1ヘクタール当たり
400ドルとする。今後10年で植林すべき面積は、合計で1億5,000万ヘクタール。
つまり1年当たり約1,500万ヘクタールとなり、1ヘクタール当たりの費用は400
ドルなので、年間総費用は60億ドルという計算になる。
地球の表土を保護するに当たって、浸食の進むスピードを新たに土壌が形成され
るのと同じ速さ、またはそれ以下に抑えるためには、基本的に2段階の取り組み
が必要である。
まず第1段階として、非常に浸食されやすく耕作に耐えられない土地の使用をや
めること。世界の農耕地のうち約10分の1がこのケースにあたる。地球全体の土
壌浸食のうち半分は、こうした土地で起こっていると考えられるのだ。例えば米
国の場合、1,400万ヘクタール(約3,500万エーカー)の土地での耕作をやめる必
要がある。この措置を取るには、1エーカー当たり約50ドル、あるいは1ヘクター
ル当たり125ドルの費用がかかり、年間総費用は20億ドル近くに達する【※訳注】。
【※訳注】具体的には、対象となる土地を使用している農家に対し、耕作をやめ
て草木を植えることによる減収分や費用を十年契約で支払う、という措置にかか
る費用。
詳しくは、http://www.earth-policy.org/Books/PB2/PB2ch8_ss7.htmを参照のこ
と。
第2段階は、上記以外の土地で、過度に浸食が進んでいる(つまり新たな土壌が
自然に形成されるよりも速く浸食が進んでいる)ところを対象とした保護措置を
取ることだ。こうした取り組みの例としては、等高線耕作、帯状栽培、また近年
普及しつつある不耕起栽培(土地をなるべく、またはまったく耕すことなく農作
物を栽培する)などといった保護措置を奨励するため、これらの措置を取ってい
る農家を優遇することなどが挙げられる。米国ではこうした措置に年間約10億ド
ルの費用をかけている。
この推定値を世界全体に拡大して考えると、世界の耕作地のほぼ10%は土壌が非
常に浸食されやすい状態にあり、木や草を植えなければ表土が流出して荒地にな
ると推測される。
世界の穀物収穫量の3分の1を生産する二大食糧生産国の米国と中国は、全耕作
地の10分の1で耕作を停止することを公式目標に掲げている。耕作の中止が必要
な耕作地は欧州では10%未満と思われるが、アフリカやアンデス山系の国々では
はるかに多いと考えられる。世界全体では浸食の可能性の高い耕作地の10%を草
木地に戻すのが、妥当な目標だろう。必要となる費用は、世界の耕作地の8分の
1を占める米国で約20億ドルであることから、世界全体では年間約160億ドルか
かる計算となる。
米国と同じような土壌浸食防止措置が世界でも必要だと仮定すると、世界全体で
は、米国における支出額の8倍の80億ドルが必要になる。侵食の可能性が高い土
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10月30日(火)
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